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2022.08.24

男女間賃金格差のある企業は成長できない!?

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社会も企業も持続させていくために

 このように、男女の間に「合理的とはいえない」賃金格差が発生する要因として、女性に対する企業の思い込みや無意識のバイアスが考えられます。これらがなくなれば、格差のさらなる縮小につながるはずです。そのためには、社会全体で働き方の見直しが必要です。

 今の日本では、長時間労働や場所を固定されて働くこと、突発的な事態でも対応できるといった働き方が、企業に評価される傾向にあります。男性はそのような働き方ができても、女性は家庭で多くの役割を担っているため、そのような働き方ができないことがままあります。そうすると、女性は企業から評価されず賃金は上がりませんし、企業の女性に関する思い込みやバイアスは持続してしまうでしょう。

 その一方で、時間的にも場所的にも自由度が高い働き方は、家事や育児と両立をしやすく、女性にとって働きやすい働き方です。このような働き方が社会に普及し、男女両方にとって典型的な働き方になれば、評価に違いはなくなり、思い込みやバイアスは解消されるはずです。また、この働き方は、男性にとっても働きやすいことは言うまでもありません。

 つまり、男女間格差をなくし、女性が意欲を持って働ける社会を実現するには、雇用システム自体を変える必要があるのです。

 最後に、最近のことですが、2022年7月に女性活躍推進法に関する制度改正が行われ、常用労働者301人以上の大企業に対して、男女の賃金差の情報開示が義務付けられました。これは企業にとって、負担の重い施策であると思います。

 でも、これを致し方なくではなく、効果的な人材活用施策と捉えられる企業が成長していくのではないでしょうか。

 せっかく採用した女性です。男女間格差をなくすことで、女性の意欲を削がず、彼女たちに適した仕事に割り振っていくことは、企業の生産活動にプラスの効果をもたらすはずです。男女間格差をなくすことを、女性だけのためとは捉えず、企業のため、そこで働く男性従業員のためでもあると考えて、取り組んでもらいたいです。


英語版はこちら

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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