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人が言葉を話せるのは当たり前、ということからわかること

坂本 祐太 坂本 祐太 明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授

世界中の言語に共通の規則性がある

 文法の考察からも、面白い発見に繋がることがあります。例えば、日本語と英語では、文法がまったく異なると思われがちですが、しっかり考察すると、共通の文法規則があることがわかるのです。

 例えば、日本語に、理由を尋ねる疑問詞として「どうして」があります。「どうしてテレビをつけたの」と聞かれれば、「テニスの試合を見たかったから」などと答えます。

 でも、「どうしてテレビをつける前にハンバーガーを食べたの」と聞かれると、「テニスの試合を見たかったから」とは答えません。同じ「どうして」で、指すものが変わっているのです。

 この法則は、英語のwhyでも同じようにあるのです。さらに言えば、韓国語やドイツ語など、世界中の様々な言語にも普遍的に適用されている法則なのです。

 また、世界には約7000の言語があると言われていますが、どの言語でも、基本的に、主語(S)、動詞(V)、目的語(O)の組み合わせで文章が成り立ちます。

 その語順は6通りになるわけですが、多くの言語が、意外に思われがちですが、日本語と同じSOVの語順なのです。次いで多いのが英語などのSVOで、OSVやOVSはほとんど存在しないことが知られています。

 いや、「おにぎりを私は食べた」という言い方もできると言いますが、これは、日本語には「は」や「を」といった格助詞があるため、語順を変えても意味が通りやすいからです。格助詞がない言語では「おにぎりが私を食べた」という意味になりかねないわけです。

 そのため、日本語は語順が比較的自由な言語と言われていますが、基本は、世界に最も多いSOVの語順の言語であり、上記のような例はOが動いていると考えるわけです。

 このように、使われている地域も言葉の発音もかけ離れている言語にも、一般的な共通規則があることがわかっているのです。それはなぜなのか。それを考えていくと、地球上のあらゆる生物、動物の中で、人だけが言語を高度に使えることに行き着きます。

 例えば、知能レベルで考えれば、イルカなどはもっと言語を使えても良いはずです。発音するための顎の構造や筋肉を考えれば、猿やオラウータンなどはもっと器用に喋れるはずです。でも、それができるのは人だけなのです。

 しかも、誰もが、4~5歳くらいになれば、同じようなレベルで母国語を獲得します。それは、生まれつきの障害がなければ、誰もが歩くことや聞くこと、見ることを獲得できるのと同じです。

 つまり、人にとって高度な言語を使うことは、例えば鳥が飛べるのと同じように、先天的に備わった能力と考えることができるわけです。

 言語を操ることが人の遺伝子に組み込まれた人に共通の能力と考えれば、地域によって言葉が異なっても、その文法には共通の規則性があることも理解できます。

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