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人が言葉を話せるのは当たり前、ということからわかること

坂本 祐太 坂本 祐太 明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授

身の回りに溢れている不思議を捉え、考察すると…

 このような言語学にたずさわる私たちにとって、言語が消滅してしまうことは、非常に残念なことです。

 例えば、アイヌ語は、もう、ほとんど話者が残っていません。琉球語も高齢の方でなければ話すことができなくなっています。

 仮に、話者がいなくなっても、文字として残すことはできますし、それを読むための文法書を残すこともできます。しかし、先に述べたように、言語には文法書に載らないような規則がたくさんあるのです。

 いま、その言語を話している人たちにとっては、その規則は言わずもがなのことや、規則とすら意識していないのです。

 そこで、琉球語の研究者などは、琉球語を話す高齢者にインタビューをして、その会話を録音する形でデータや資料を残そうとしています。

 実は、いま、私たちが思っている以上のペースで、世界から言語が失われているのです。それは、人類の多様性の持続や、多文化共生という観点から大きな損失です。

 また、言語学にとっては、世界中の言語の共通性や差異を研究することは、人とは一体どういうものか、に迫ることです。そうした言語学のためにも、消滅危機にある言語に対して、言語学にできることをやっていくことが必要だと考えています。

 冒頭に述べたように、言語学とは堅くて、難しい学問と思われがちですが、その研究対象は、私たちの身近にあって、当たり前すぎて疑問にも思わないことであったりします。

 でも、その当たり前をちょっと深く考えてみると、そこには、不思議なことや面白いことがあることがわかります。

 皆さんも、身の回りにあり過ぎて当たり前になっている、例えば、広告に目を留めてみてください。じっくり読んでみると、なぜ、こんな表現にしているのかとか、あれ、文法に適っていない、という疑問がわくかもしれません。

 その理由を考えたら、日本語の表現の豊かさに気がついたり、広告のインパクトに踊らされにくくなるかもしれません。

 言語学も含め、身の回りに溢れている不思議を捉え、それを考察することはサイエンスであり、専門的な深い知識がなくても、自分のレベルに応じて誰でも行うことができます。それは、あなたの感性や生活を豊かにしてくれることになると思います。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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