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目的があれば英語は習得できる ―『日本人の英語』の現在―

マーク・ピーターセン マーク・ピーターセン 明治大学 名誉教授(元政治経済学部教授)

「出かけた前に」???

 英語を母語とする日本語学習者にとって、日本語は非常に難しい言語です。とりわけ初歩の段階では、たとえば、“Before I left, I sent her an email message”(出かける前に、私は彼女にメールを1つ送った)というようなことを日本語で伝えようとする場合、英語の時制の強い影響が表れることがよくあります。left(出かけた)が、主節のsent(送った)との時制の一致によって過去形になっているので、日本語でも「出かけた前に、私は彼女にメールを1つ送った」のような“和文”を書いてしまったりすることがあるのです。もちろん伝えようとしていることが想像できないわけではありませんが、与える印象はあまりよくないでしょう。逆に、たとえば、日本人の大学生が書いた英文を見ると、「名詞の前に冠詞があるかどうか」や「その名詞が単数形か複数形か」といったところは「ささいなもの」と考えるようです。そのせいか学生は「私は馬が大好きで、馬を飼いたい」のつもりで “I like horse very much. So I want horse”(私は馬肉が大好きです。だから、馬肉が欲しいです)というように書いてしまうことがあります(本当は、“I like horses very much and want to have one”と書けばいいのです)。「ささいなもの」と見えるかもしれませんが、それによって、英語圏の読み手にとっては、筆者の英語力がカタコトである印象を与えてしまったり、あるいは「まったく不可解」な英文が出来上がってしまう可能性も十二分にあります。もったいないことです。やはり、基本的文法に対する理解はとても重要だと思います。

英語習得は“やる気”にかかっている

 私が担当している受講生には、毎年「どうしても大学の4年間でギターを弾けるようになりたい」という人が1、2人います。そして彼らのほとんどは、4年間でとても上手に弾けるようになります。毎日、家でギターを手にとって3、4時間練習しますが、上達を体で感じることが出来ますので、苦にはなりません。英語に関して同じような決心をしている受講生は、私が見ている限り1割くらいですが、その人たちも大学の4年間でかなり上達します。英文の本を読んだり、パソコンを使って会話の練習をするなど、続けてやれば確実に上達するのです。週に1回だけしか集まらない大学の授業でも当然大いに参考になるはずですが、結局は毎日行う個人の学習が決め手になります。また、これは大学生の年頃だけの話ではなく、社会人になってからでも遅くありません。英語習得は本人の“やる気”にかかっていて、“やる気”さえあれば、何歳であろうが遅いということはないのです。

※掲載内容は2014年2月時点の情報です。
>>英語版はこちら(English)

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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