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より良い労働条件獲得のために、ストライキよりさらに有効なこと

明治大学 専門職大学院 法務研究科 教授 野川 忍

フランスでは、ストライキはフランス名物と言われるほど、日常的に様々なストライキが行われると言います。それに比べ、日本では、最近はほとんど行われなくなりました。ストライキは、法律でも定められた労働者の正当な権利であることを知らない人も多いと言います。あらためて、ストライキについて考えてみましょう。

劣悪な労働環境への反発から生まれた労働三権

野川 忍 近年、日本ではストライキはほとんどありません。労働組合自身が、ストライキは悪であるようなイメージをもっているようです。

 しかし、日本の憲法28条は、いわゆる労働三権と言われる、団結権、団体交渉権、争議権を保障しています。つまり、労働組合の活動も、ストライキを打つことも、悪どころか労働者の立派な権利なのです。

 そもそも、労働者の権利という考え方は、19世紀に産業資本主義が成立して工場労働が起こり、システム化された体制の下で否応なく働かされる、という状況から生まれます。

 すなわち、低賃金、長時間労働、しかも、安全や衛生も非常に劣悪な環境という非人間的な労働条件に対して、追い詰められた労働者たちは立ち上がり、暴力に訴えてでも反発するようになります。それは、イギリスでも、ドイツでも、フランスでも、日本でも起きました。

 使用者側や国は、当初は、暴力には暴力で応じたり、労働者の反発を違法行為として抑え込もうとします。が、力では治めることはできず、むしろ社会的混乱を招くことになったのです。

 そこで、どの国も真剣に対策を考えるようになります。

 まず、劣悪な労働条件は認めない法律がつくられます。わかりやすいのは、最低賃金法でしょう。

 最低賃金を法律で決め、仮に、労働者側がそれ以下でも良いと言ったとしても、その労働契約は認められません。また、労働時間についても同じです。つまり、当事者の意思以上に、生命、健康、人権を優先するということです。

 最低労働条件を労使の合意に任せず、法律で決めるこの制度は、いまではすべての先進国で行われています。

 しかし、法律が保障するのは最低労働条件です。労働者が、もっと人間らしい、もっと豊かな生活を目指して実現するためには、労働者自身が使用者側に要求しなければなりません。

 しかし、労働者はひとりの生身の人間です。それが、使用者側である会社という組織と対等に交渉することは、現実的には不可能です。

 つまり、労働者個人では、組織のもつ知識量や能力の量に対して、圧倒的に弱いのです。

 そこで、会社という組織と対等に交渉するために、労働者側も組織化する必要があるという考えの下、労働者が労働組合を結成することを認める法律ができてきたのです。

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