明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

2020年のオリンピック開催地に東京が決定した。日本にとって久々に明るい話題といえる。前回の1964年の「東京五輪」がそうだったように、2020年の「東京五輪」は、東京のみならず日本にとってエポックメーキングになるイベントと筆者は考えている。「東京五輪」が、東京および日本に何をもたらすのか。都市政策、国土計画の立場から検証したい。

明るい未来を夢見た1964年の「東京五輪」

市川宏雄教授 1964年、日本で初めてのオリンピックである「東京五輪」が開催された。当時、筆者は高校生だったが、東京が大きく変わっていくことを目の当たりにした。開催決定が1959年、5年後の開催に向けて、東京は劇的に変わっていった。高速道路や新幹線に象徴される社会基盤整備が急速に進み、本格的なモータリーゼーションの時代が到来し、高度経済成長が加速した。戦後、日本人の心が初めて燃えた時期といっていい。国際イベントを迎えることで、都市と人は変わるのである。この「東京五輪」では、多くの国民が夢を持って明るい未来を描いた。その後、時代は様々な変遷を辿ってバブル経済の繁栄と崩壊に至る。90年代の日本は長引く不況など、明るい話題はほとんどなかった。21世紀になって10年、それでもなんとか明るいきざしが見え始めた時期に、今度は2011年3月に東日本大震災が日本に深刻な打撃を与えた。その復興の過程で、日本が浮上しなければならないという切迫感は、多くの国民が共有している想いだろう。かつてバブル崩壊後の経済再生のために、政府は都市から国力を回復する政策として、2002年に「都市再生特別措置法」を制定し、都市の経済を刺激する政策を打ち出した。これが功を奏し、日本全体が人口減少する中で、東京だけが抜け出ていち早く復活したのである。それが格差社会を生んだという指摘もあるが、国力の回復に都市が果たす役割は極めて大きい。しかしながら、その東京にあっても、実は世界の都市の国際競争においては苦戦を強いられている。

ビジネスの関連記事

補助金を巡る意識改革が必要

2022.7.6

補助金を巡る意識改革が必要

  • 明治大学 経営学部 教授
  • 石津 寿恵
ニューノーマル時代、社会を幸せにする広告作りは可能か?

2022.3.16

ニューノーマル時代、社会を幸せにする広告作りは可能か?

  • 明治大学 国際日本学部 専任講師
  • 小野 雅琴
企業の非財務情報に注目すると社会が変わる!?

2022.2.2

企業の非財務情報に注目すると社会が変わる!?

  • 明治大学 専門職大学院 会計専門職研究科 教授
  • 弥永 真生
日本人は本当のM&Aをまだ知らない!?

2022.1.14

日本人は本当のM&Aをまだ知らない!?

  • 明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授
  • 岡 俊子
インドから始まるイノベーションは、カオスから始まっている

2021.11.26

インドから始まるイノベーションは、カオスから始まっている

  • 明治大学 商学部 准教授
  • 西 剛広

新着記事

2022.07.07

属する組織の始まりに思いを馳せてみよう

2022.07.06

補助金を巡る意識改革が必要

2022.07.04

スマート社会の実現を私たちも考えよう

2022.06.28

コミュニケーションを第一に、家族を大切にしよう

2022.06.22

ゲームのスキルは、その子の「資本」になる

人気記事ランキング

1

2020.11.04

私たちの身近にある熱エネルギーには多様な可能性がある

2

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

3

2022.07.06

補助金を巡る意識改革が必要

4

2022.06.22

ゲームのスキルは、その子の「資本」になる

5

2018.01.26

#3 日本国憲法は「押しつけられた憲法」か?

連載記事