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国際競争力向上を目指す「国家戦略特区」構想

アジアヘッドクォーター特区 筆者が座長として作成している「世界の都市総合ランキング(GPCI=Global Power City Index)」というものがある。世界を代表する主要40都市を選定し、「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」の主要6分野を評価、さらに都市で活動する人間を「経営者」「研究者」「アーティスト」「観光客」「生活者」という5つの視点からとらえ、複眼的に都市の総合力を評価したものだ。直近では、1位がロンドン、2位ニューヨーク、3位パリ、そして4位が東京である。ロンドンの1位は2012年開催のオリンピック効果にほかならず、それまで1位だったニューヨークと逆転した。東京は上位ではあるものの、ここ数年、国際競争力に陰りが見え始めている。3位パリとのスコア差は少ないが、5位のシンガポールとの差は縮小しつつある。東京にとって脅威なのはシンガポールばかりではない。ソウル、香港、北京、上海といったアジアの都市が、ランキングで躍進しているのである。
 そうした状況で政府は、2011年末、経済成長のエンジンとなる産業・機能の集積を促進することを目的とした「国際戦略総合特区」構想を掲げた。規制緩和や法的な優遇措置などの支援によって、国際競争力の強化を図るというものだ。東京をはじめとする6つのエリアが日本全体で「国際戦略総合特区」と認められたが、東京は「アジアヘッドクォーター特区」として活動を開始した。アジア地域における企業拠点の東京への集積を目指す外国企業誘致プロジェクトである。2016年までに、情報、医療、コンテンツなどの分野での外国企業500社以上の誘致を目指しているが、思い描いたようには進んでいないのが現状だ。規制緩和が簡単には進まないのである。この反省から、2013年になって、安倍首相がこの「国際戦略総合特区」を見直して「国家戦略特区」とし、トップダウン型の政策実行でロンドンやニューヨークに匹敵する国際的なビジネス環境を作り、世界中から技術、人材、資金を集める都市をつくる方針を打ち出した。まさに、その施策実行に踏み出すタイミングでオリンピックの東京開催が決定したのである。

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