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好奇心を尊重し、長い目で見て、人を育てよう

吉村 英恭 吉村 英恭 明治大学 理工学部 教授

歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。

教授陣によるリレーコラム/人生で影響を受けた人物【100】

元名古屋大学名誉教授の大澤文夫先生です。残念ながら数年前にお亡くなりになりましたが、先生には“人の育て方”を教えていただきました。

私は湯川秀樹先生や朝永振一郎先生などのノーベル賞受賞者に憧れ、「素粒子理論学者になりたい」と、物理学科に入学しました。しかし、とても自分の手に負える学問ではないと悟ります。

そこで、生物学なら自分にも研究できる余地があると思い、大学院から生物物理に転向しようと考えました。そんな時に出会ったのが、生物物理学を始められたばかりの大澤先生でした。

しかし当時の研究室は「大澤牧場」と呼ばれていたのです。これは「囲いの中から出なければ、どこにでも勝手に動くことができ、好きなことをやれる、まるで放牧場のよう」という意味です。

理由は大澤先生の方針にありました。それは「野放しにしておきなさい」。また「若い人のオリジナリティ溢れる考えに、文句をつけてはいけない」ともおっしゃっていました。

自由な雰囲気で、何をやっても批判されない。徹底して若い研究者の好奇心を大切にし、行動を見守り、人を育てていたことが分かります。

私のラボでも「研究を楽しみなさい」と言っていますが、なかなか大澤先生のようにはいきません。でも、楽しい研究を目指してきました。

私が知っている大きな規模のラボでは、計画通りにきちんと研究成果を出していますが、その手法では、想像を超えた未知のコトやモノを発見することは、ほとんどないと思っています。

日本の会社が海外企業にどんどん追い抜かれているのは、目先の数字ばかりを追っているからではないでしょうか。

仕事も長い目で見て、若い人の興味を大事にし、成果が出るまで我慢しつつ、見守っていただければと思います。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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