
2023.03.23
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。
私は、地球内部で起こる様々な現象を、物理的手法に基づいて解明する「地球内部物理学」を専門にしています。
この研究の魅力はなんといってもスケールの大きさです。
時間にして46億年、深さにして何千キロメートルといった大きな話を、自分の手元にある小さな装置で解明することに面白さを感じています。
この道に進むと決めたきっかけは、学生時代に所属した研究室の指導教官、丸山茂徳先生(東京工業大学 特任教授)と廣瀬敬先生(東京大学・東京工業大学 教授)に出会ったこと。
丸山先生は、元々は地質学の一分野、変成岩岩石学を研究されていましたが、様々な分野に興味を持ち、研究対象を広げていった方です。
地球の大規模な変動はプルームによって引き起こされるという、マントル・プルーム説を唱えたことで知られています。
狭い世界に閉じこもりがちな研究者が多いなか、外に出て、次々と新しい挑戦をされていく丸山先生に圧倒されました。
一方、廣瀬先生は、幅広い分野に関して深く精緻な知識をお持ちでありながらも、高圧実験のプロフェッショナルとして、ご自身の専門である地球内部に関する研究をとことん練り上げられています。
また近年では地球生命研究所(東京工業大学)という、地球科学と生物学を融合させ、生命の起源に迫ることを目的とした全く新しい研究所を立ち上げ、世界から注目を集めています。
マントル最下層の物質を発見するなど、世界に先駆けた大きな成果を挙げ続けておられた廣瀬先生からは、ひとつの道を極めることでしか到達できない景色もあると教わりました。
丸山先生と廣瀬先生、個性の異なる研究者が組んで、新しいことに取り組む姿に強い刺激と感銘を受け、私もこの研究で生きていこうと思ったのです。
明治大学は「個を強くする」を理念として掲げていますが、いま所属する本学の物理学科も、バラエティに富んだ研究をしている先生方が集まっていて、非常に強い刺激を受けています。
皆さんの職場にも、様々な世代や、職種、立場の方がいることでしょう。
自分とは違う考え方や経験を持つ人と議論したり、チームを組んでみたりすることで、より高い目標を達成できるようになることを、私は個性際立つ二人の恩師から学びました。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。