2024.03.14
- 2021年7月15日
- リレーコラム
これまでの人生を振り返り、初心を思い出そう
重田 園江 明治大学 政治経済学部 教授歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。
教授陣によるリレーコラム/人生で影響を受けた人物【27】
私にとって、フランスの哲学者ミシェル・フーコーは、人生を決定づけた人物です。
フーコーと出会ったのは、大学生の時。その頃、消費社会を把握できる知や実践のあり方を模索する思想 “ポスト・モダン”ブームが起こっていて、代表的な存在である彼の著書に触れました。
当初は、難解な言い回しのフーコーの哲学がピンと来なかったのですが、「ミシェル・フーコー思想集成」というインタビューや講演、対談をまとめたものを読んだことで、その思想のみならず生き方にも心酔するようになったのです。
もっと彼を理解したいという思いが強まったため、一度は就職したものの大学に戻り、現代思想研究の世界に飛び込みました。
人生において、流れに抗って何かを選択したのはこれが初めて。彼がいなければ研究者という道も選びませんでしたし、単なる“研究対象”とは括ることができないほど思い入れがあります。
「20代は迷いの時期」とは、後で振り返って言えることです。当時は何の余裕もありませんでしたが、それ以降逆境に立たされると、「あの時よりはマシ」と考えられます。
若い時に、真剣に迷い、選び取る経験は、必要なものだったのだ、と今になって思います。
きっと誰しもそういう瞬間があるでしょうし、そこに立ち返ることで、また新たな一歩を踏み出すことができるはずです。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。