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現場に足を運び、「目」と「耳」で吸収しよう

石山 徳子 石山 徳子 明治大学 政治経済学部 教授

歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。

教授陣によるリレーコラム/人生で影響を受けた人物【12】

私は人文地理学を専門にしていて、差別や格差構造と環境問題がいかに関連しているか興味を持ち、研究を続けています。

研究においては、資料を読みとき、理論分析を行うだけでなく、実際に現地に足を運び、そこに住む人々の話を聞かせていただきながら、多くのことを学んできました。

学問への向き合い方に関しても、出会った人たちから大きな影響を受けました。その中でも特に印象深い3人をご紹介します。

まずは、交換留学生としてアメリカ東部の女子大学、ウェルズレー・カレッジに通っていた時の恩師、ジュディス・ロリンスさん。公民権運動を黒人女性として命がけで闘い、社会学者になった方です。

アメリカ社会における差別構造の改善に奮闘する姿や、困難な状況に置かれた人たちとの連帯の在り方などを間近に見て、社会問題への取り組み方を学びました。

次に、1996年にフィールドで出会って以来、家族ぐるみで付き合いのある、先住民研究者のキム・トールベアーさん。

彼女も、社会正義にまつわる諸問題の分析に取り組む学者です。現状の批判をしつつも、未来へ希望を見出しながら、研究自体を楽しんでいるところを尊敬しています。

私自身も、様々な土地を歩き、自分の目で確かめ、人と触れ合うことによって新しい知見を見出していく、という地理学という学問を楽しんでいます。

3人目は、水俣病の問題に、現場の医師として取り組み、研究の第一人者でもあった原田正純さん。

医師として、水俣病に苦しむ患者の心身と向き合うため、何度も現場に足を運んで、現地の人々を治療し、その悲痛な声を拾い続けていた方です。

水俣だけではなく、水銀汚染の被害を受けたカナダ先住民の居住区など、世界各地を訪れ、生涯をかけて公害問題に取り組んでいらっしゃいました。

個人的にお会いしたことはないのですが、講演やメディア報道で接した「差別のあるところに公害が生まれる」という先生の言葉は、私の研究にも重なるところがあり、心に残っています。

私が現場を大事にしているのも、いまご紹介した方たちから、その重要性を教わったからだと思います。

現場に足を運び、自分の目で見ながら学ぶ。コロナ禍で移動することもままならない日々が続きますが、収束するころには、皆さんも、色々な場所を訪ね、現地の人たちと交流してみてはいかがでしょうか。新しい発見があるかもしれません。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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