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税法を逆手にとり、納税額を極端に減らす

企業のグローバル化が進む今日、プラットフォーマーと呼ばれる多国籍企業などがビジネスを行っている国で相応の税金を納めていないと指摘され、大きく報道されることがあります。

ところが、企業の方は、違法なことはしていない。ちゃんと、その国の税制に則った納税をしている、と言います。実際、こうした企業が脱税で摘発されることは、まずありません。これはどういうことでしょう。

脱税は、書類を改ざんするなどして所得隠しなどを行い、税額を減らす行為です。これは刑事罰の対象となる犯罪行為です。

それに対して、租税回避と言われる行為があります。それは、法律の規定に則りながら、その条文の規定を、いわば逆手にとって、条文が意図していないような方法で納税額を極端に減らしてしまうというものです。法律の抜け穴をくぐる行為と表現されることもあります。

条文には反していないので、企業からすれば法律に則った「合法的な節税」ということになります。ところが、国税局などからみれば、課税の公平の上で重大な問題があり見過ごすことができない行為、ということになるわけです。

こうした租税回避のスキーム(手法)は、アメリカなどでは古くからさまざまなものが考案され、より洗練されたものに進化してきました。

租税回避自体は日本でも以前からありましたが、バブルが弾けた1990年代、金融機関やファンドなど欧米の企業の活動が日本で目立つようになってきた頃から、それまでにはみられなかったような欧米流の洗練されたタイプの租税回避スキームが入ってくるようになりました。そしてそれらの事件が2000年代に入ってから課税事件の報道などで表に出てくるようになりました。

実際、私も1990年代にアメリカに留学していたとき、ロー・スクールの学生から、「夏休みに働いていたニューヨークの弁護士事務所で、日本の相続税法は抜け穴が多いらしいということで研究していたが、法律の英訳がなくて困っていた。英訳をもっていないか。」と聞かれたことがあります。当時、米国のタックス・ロイヤーと呼ばれる人たちが、日本の税制に注目していたようです。

租税回避行為は、国にとってはあるべき税収がなくなるということになりますし、私たち一般の納税者にとっては納税の不公平に繋がります。決して看過できないものなのです。

次回は、裁判となった租税回避事件などについて解説します。


#1 租税回避行為って?
#2 日本でも租税回避行為が増えている?
#3 租税回避行為を取り締まることはできるの?
#4 租税回避は安全な行為か?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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