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物事の本質を見極めるために、一歩外に出てみよう

山﨑 健司 山﨑 健司 明治大学 文学部 教授

いまやクリエイティブな職種に留まらず、多くのビジネスパーソンにとって発想力や企画力は必須のスキル。ライバルを一歩リードするのに役立つヒントを、知の先達である明治大学・教授陣の言葉から探ります。

教授陣によるリレーコラム/アイデアの泉【8】

今回の改元に当たっては、「令和」の出典が国書か漢籍か、具体的にどこなのかということがやたらと強調されていたように感じました。残念ながら、出典となった材料の文脈全体を捉える見方が議論の渦中にはなかったようです。

私はちょうど、令和の典拠とされる萬葉集・梅花の歌三十二首の宴歌の論文を書いたばかりだったので、この歌はまさに「一人ひとりの意見が大事にされる時代」にふさわしいものだと気づくことができました。

議論の中に入ってしまうと、物事の本質が見えなくなってしまうことはよくあります。そういうときはあえて議論の外に身を置き、角度を変えて問題の本質を見極めようと試みることが大切です。

会社という環境でも同様に、会議などで議論が白熱している際は、一歩引いた場所で冷静に考えてみましょう。そこから良いアイデアが浮かんだり、本質がつかめたりするものです。

また、「ことば」を研究対象としている立場から気になっているのは、今日のネット社会で濫用されている短い言葉でのやりとりです。短い言葉の使用が誤解を生み、それがどんどん膨れ上がって炎上などの騒ぎになっていくことが目立っているように思います。

最近の若い人たちは、お互いに向き合い、腹を割って話し合うということを不得手にしているようで、2~3人の小さなグループをいくつもつくり、閉じられた空間の中で短い言葉によって気持ちを通わせています。

これでは自分たちと違う物の見方などが入らなくなってしまいます。短い言葉でのやりとりに振り回されないように努め、じっくり言葉に向き合う。そして異なる世代、様々な考え方を持った人たちと繋がることで新しい発想なども育まれていくのではないでしょうか。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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