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ブッダの真理をヒントに、心の平穏を手に入れよう

清水 有子 清水 有子 明治大学 文学部 准教授

ときに人生の指針となり、仕事のヒントとなり、コミュニケーションツールの一助となる「読書」。幅広い読書遍歴を誇る明治大学の教授陣が、これからの社会を担うビジネスパーソンに向けて選りすぐりの一冊をご紹介。

教授陣によるリレーコラム/40歳までに読んでおきたい本【28】

『ブッダのことば ―スッタニパータ』(中村元訳・岩波文庫・1984年)

本書は仏教における最も古い聖典です。おそらくブッダ自身が話した言葉を弟子たちがそのまま詩の形で書きとめ、原典に限りなく近い状態で収録されているのではないかと思います。後々学者が考えたような小難しい解釈が入っていないため、非常にシンプルに内容が伝わってきます。

ブッダが亡くなったのは紀元前4世紀頃ですが、それ以降、仏教が長きに渡り人類に支持されてきたのは、ブッダのことば一つひとつに真理があるからではないでしょうか。いまでもブッダのことばの一部はスリランカの結婚式で使われているそうです。

「人が生まれたときには、実に口の中には斧が生じている。愚者は悪口を言って、その斧によって自分を斬り割くのである」という一節をとってみても、現代に通じるような教化的内容になっています。

また、キリシタンの教理書もそうですが、弟子が聞いて師が答えるという問答形式をとっているため、教理が伝わりやすいのが魅力です。

心の平穏をどうしたら得られるかというヒントにあふれ、人間が苦しみの中で生きていく手助けとなる一冊です。世に出回っている幸せに生きるためのハウツー本よりも、勉強にもなるので良いと思います。

40代以降は人生の折り返し後半になるので、その備えとして本書を読んでおくことをおすすめします。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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