2024.03.21
- 2018年12月13日
- リレーコラム
自分の限界点をつくらず、夢を追い求めよう
落合 弘樹 明治大学 文学部 教授ときに人生の指針となり、仕事のヒントとなり、コミュニケーションツールの一助となる「読書」。幅広い読書遍歴を誇る明治大学の教授陣が、これからの社会を担うビジネスパーソンに向けて選りすぐりの一冊をご紹介。
教授陣によるリレーコラム/40歳までに読んでおきたい本【20】
手塚治虫『陽だまりの樹』(小学館文庫・1995年)
植村直己『青春を山に賭けて』(文春文庫・2008年)
『陽だまりの樹』は、来年没後30年を迎える手塚治虫氏が執筆した漫画作品です。動乱の江戸末期、時代の流れに翻弄されつつも自らの使命をまっとうした武士・伊武谷万次郎と医師・手塚良庵(手塚治虫氏の曽祖父)を主軸に、近代国家幕開けまでの様子が描かれています。
歴史というと「古い時代のことを勉強して何になるんだ」と嫌う人もいますが、本書は漫画ならではのわかりやすさで幕末維新の雰囲気をリアルに伝え、歴史初心者の方にもお薦めの一冊です。
歴史を好きになる入口はドラマであったり、漫画であったりしても構いません。そこから先、正しく整理しながら勉強する必要はありますが、いきなり難しい本から入る必要はないと思います。歴史漫画には良い作品も多いので、まずはここからはじめてみてはいかがでしょうか。
『青春を山に賭けて』は明治大学卒業生でもある登山家・植村直己氏の最初の著書です。大学で山に出会い、ヨーロッパに渡りアルバイトをしながら五大陸最高峰登頂を果たした、ケタはずれな世界放浪の全貌が語られています。
「どうせだめだろう」と限界をつくらず、一貫して夢を追い続ける。安全なところに立てこもるのではなく、積極的に外を見ていく。世界的冒険家として有名になる前の生の声が綴られ、彼の原点というものがよくわかります。
植村氏のように夢を追い求めた人物は幕末から明治にかけて沢山いたことでしょう。若い方には彼らに負けじと情熱を燃やし、ぜひ色々なものにチャレンジして欲しいと思います。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。