明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

メディアリテラシーの向上は、個人ができる有効なフェイクニュース対策

前回は、フェイクニュース対策として、政府による法規制と、非営利団体などによるファクトチェックを紹介しましたが、報道機関にも動きがあります。イギリスのBBCの「スローニュースに力を入れる」表明です。速報を第一とする姿勢から、調査や分析をしっかり行い、深掘りのニュースを発信することを大事にするというのです。では、なぜ、報道機関が情報の真偽をしっかり確認するよりも、速報競争に至っていたのか。その背景には、ニュースのスピードと量を求めるユーザー、つまり私たちの欲求があったからといえます。その結果、私たちも間違った情報に惑わされやすくなっているのです。2016年のスタンフォード大学の調査では、アメリカのデジタル通の若者がオンライン上のスポンサー付きのコンテンツと事実を伝えるニュースの違いを見分けられないという結果が出されました。しかも、現代は誰もが簡単に情報発信ができる時代なので、様々な情報が、内容の善し悪しやクオリティに関係なく、あっという間に拡散してしまう可能性があるのです。

つまり、私たちは、自分で自分の首を絞めているようなものです。ソーシャルメディアの普及によって情報の受け手がすぐに今度は発信者になることを考えれば、法規制やファクトチェック、報道機関の取組みに任せるだけでなく自ら意識をもってメディアリテラシー(情報メディアを使いこなす能力)を向上させることが、私たちが日ごろからできる有効なフェイクニュース対策です。例えば、善意で伝えたいと思う情報があっても、リツイートする前に、その情報の発信元は誰なのか、自ら情報の真偽を確かめようと調べる習慣をつけましょう。調べると言っても、ネットで類似の情報をいくつか検索すれば、意外とすぐに元ネタがわかったり、過去に偽情報と断定されたものであることがわかることもあります。個人で調べてもわからない場合は、ファクトチェックをしている団体のサイトで確認することも良いでしょう。でも、そうした団体がオンライン上にあふれる情報すべてをファクトチェックできるわけではありません。そもそもメディアリテラシーが身についていなければ、情報を確認することも、ファクトチェックを利用することも思いつかないでしょう。

スマホを使う年齢がどんどん低年齢化している状況を考えれば、今後は、義務教育の期間でメディアリテラシーの学習を行うことがますます必要になってくると思います。社会人である私たちは(時間に追われる現代の私たちには難しいことですが)、最初に目についたオンライン上の情報をうのみにせず、ニュース(情報)の速報性を追い求めるより、じっくりニュースを読み解く習慣を持つことも必要です。そして、目の前の情報の真偽を確かめないうちは情報を拡散しない、という少し慎重な姿勢をもってソーシャルメディアと上手に付き合っていくことが、大切だと思います。

#1 フェイクニュースって、なに?
#2 日本では政治目的のフェイクニュースは少ない?
#3 フェイクニュースの拡散は防げる?
#4 法によるフェイクニュース対策を望む?
#5 メディアリテラシーって、なに?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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