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#3 持ち家はライフスタイルに応じた選択肢ができない?

園田 眞理子 園田 眞理子 明治大学 理工学部 教授(2021年3月退任)

異世代間の家の循環を実現するJTIの取組み

前回、お話ししたリコースローンに対して、担保である土地や建物を取られると、それ以上の返済はなくなる仕組みが、ノンリコースローンです。私たちが立ち上げたJTIでは、ハウスメーカーとタイアップし、このノンリコースローンの仕組みを付けた住宅の販売を始めました。この住宅を買った人が、万一、何かの事情で住むことができなくなったり、ローンが返済できなくなったときは、リターン・ザ・キー(玄関の鍵を返す)すれば、JTIが残りのローンを肩代わりし、その人はローンから解放されるのです。仕事の都合や社会の経済状況の変化などがあっても、住宅ローンのリスクヘッジができるというわけです。JTIでは、こうしてリターン・ザ・キーされた家を賃貸物件として運用することによって、そこで得られる家賃収入でローンの残債を返していきます。ポイントは、住宅ローンの返済額をJTIが当初に査定する金額内にしておくことです。

この仕組みは、他の形で応用することもできます。例えば、ローン返済が厳しくなったので、手放して実家に戻ろうと考えた場合、手放さなくても、JTIが借り上げ、それを賃貸にします。すると家賃収入が入るので、それをローン返済に充てていけば、土地と建物を失うことなく、やがてローンを完済することもできるかもしれません。

このJTIの借り上げの仕組みによって、住まいの選択肢を広げることもできます。例えば、4人家族が暮らすために家を建てた人が、やがて子どもたちが独立して老夫婦2人暮らしになり、小さな家で庭付きのところとか、利便性の高い都心のマンションに引っ越したいと思ったとき、JTIは4人家族用の家を借り上げ、いま子育て中の家族に賃貸します。すると、老夫婦には家賃収入が入るので、それで、希望の家を無理なく借りることができるようになります。つまり、老夫婦にとっては、自分たちが長年積み立ててきた資産である家がキャッシュフロー化することで選択肢が増え、いまのライフスタイルに合った移住や住み替えが容易になるというわけです。実は、ライフスタイルに応じた選択がしにくい、というのが持ち家のデメリットでした。それを解消し、さらに、いまその家を本当に必要としている人に貸すことで、異世代間の家の循環を実現するのが、JTIの目指す取組みのひとつなのです。

次回は、家の上手な探し方についてお話しします。

#1 持ち家と借家、どちらが良い?
#2 いまは、家を買うリスクが大きい?
#3 持ち家はライフスタイルに応じた選択肢ができない?
#4 良い家を見つける良い方法は?
#5 日本の家って循環できるの?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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