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#2 いまは、家を買うリスクが大きい?

明治大学 理工学部 教授 園田 眞理子

まず冷静な判断。そして、先行きの不確実性に対応する新しい仕組みが必要

家は、おそらくほとんどの人にとって、人生で最も高い買物です。ところが、日常の生活からかけ離れた桁数を目の前にすると、多くの人が舞い上がってしまいがちです。例えば、1000万円の家と1500万円の家を比べたとき、それは高い方が良くできていて、それに心を奪われやすくなります。でも、そこには500万円もの差があるのです。その差に見合うだけの良さなのか、冷静に判断できないほど舞い上がってしまうのです。そんなときは、4桁を切って、1000円と1500円のケーキを比べているような状況を思い出してみましょう。どちらのケーキにするか、無駄な出費にならないように、悩み、考え抜いているときと同じ感覚で、家も見ることが必要なのです。

また、家を買うときは、ほとんどの場合、ローンを組むことになると思います。いまは、超低金利時代で、住宅ローンの金利も史上最低といわれています。こんなときは、銀行にお金を預けたり、株などに投資するより、超低金利のお金を借りて家を買った方が、資産形成としては良い手段といえます。だからといって、どんな家でも良いと飛びつくのは危険です。21世紀になり、20世紀の社会の仕組みが通用しなくなっていることを実感している人も多いと思いますが、住宅ローンについてもそうなのです。企業経営が安定していて、終身雇用制もあり、さらに土地が値下がることなどないと思われていた20世紀ならば、人は安心して住宅ローンを組むことができました。ところが、大企業でも先行きがわからず、さらに終身雇用制も崩れ始めている現代では、ローンを個人で負っていくのは、とてもリスキーです。前回もお話ししましたが、土地の価格が下落すると、担保である土地や建物を取り上げられても、まだローンが残るケースがあります。こうしたローンの仕組みを、リコースローンといいます。このように、20世紀につくられた住宅ローンの仕組みでは、21世紀の現状に対応しきれなくなっているのです。そこで私たちは、21 世紀の住まいと暮らし方に関するひとつのモデルをつくることを目指して、2006年に「一般社団法人 移住・住み替え支援機構」(JTI)という組織を立ち上げました。

次回は、JTIの取組みについてお話しします。

#1 持ち家と借家、どちらが良い?
#2 いまは、家を買うリスクが大きい?
#3 持ち家はライフスタイルに応じた選択肢ができない?
#4 良い家を見つける良い方法は?
#5 日本の家って循環できるの?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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