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「コラーゲンが美肌に効く」にチョット待った!

明治大学 情報コミュニケーション学部 教授 石川 幹人

科学的な態度を推進するための科学コミュニケーション

石川 幹人 一般の市民がこうした疑似科学に惑わされないためには、その話の根拠となるデータを求めることが良いでしょう。商品であれば、広告などで語られている内容の裏付けとなるデータがあるか、メーカーに問合せてみましょう。実は、広告表示には様々な規制があり、データを広告に示したくとも示せない事情もあります。問合せに、「待ってました」とばかりにデータを開示してくれるかもしれません。逆に、データを出し渋るようであれば、根拠が怪しいと推測できます。

こうした観点から、「機能性表示食品」という制度が2015年にスタートしました。健康食品やサプリメントなどを含む食品全般が対象で、事業者は安全性と機能性の根拠となる情報などを消費者庁に提出すれば、「機能性表示食品」と明示し、商品の機能性を表示できる制度です。提出された情報は消費者庁のウエブサイトで公開されます。メディアの中には、公開された情報やデータを取上げ、その問題点を指摘する者もいますが、いまは、データが提出されていない商品のほうを指摘するべきでしょう。まずは「データが提出されていないサプリメントは買わない」といった意識を一般に広めることのほうが必要です。

一般の人にとって、科学の知識を身につけることはたいへんですが、論理的な確認をするという“科学的な態度”は誰でもとることができます。疑似科学に惑わされないためには、そうした態度を皆で身につけていくことが大切です。

私も、今年2月に『なぜ疑似科学が社会を動かすのか』(PHP新書)を出版し、そこで疑似科学を見抜き対処する方法を詳しく紹介しました。また、「明治大学コミュニケーション研究所」では「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」を開設しています。そこでは様々な事例の科学性を評定し、一般の人だけでなく、事業者の人たちも含めて質疑応答をし、知識レベルを上げていくことを目指しています。それが、私たちにとっての“科学コミュニケーション”であると考えています。科学的な態度が市民に広く浸透していくよう、今後も活動していきます。

■『なぜ疑似科学が社会を動かすのか』(PHP新書)
主な内容 ●金縛りの正体 ●なぜお守りを信じるのか ●天文学もオカルトに由来する ●見せかけの先端科学にご用心 ●「秘伝の技」と科学技術 ●メディア・政府・科学者 等

■「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」 明治大学 科学コミュニケーション研究所
http://www.sciencecomlabo.jp/
これまでの主な評定項目 ●サプリメント(DHA・EPA、ヒアルロン酸 等) ●民間代替医療(磁石磁気治療、鍼灸 等) ●生活環境改善(活性水素水、温泉 等) ●自己啓発(血液型性格判断、手相術 等) ●不思議現象(ESP、UFO 等) ●安全性に関する言説(電磁波有害説、牛乳有害説)

>>英語版はこちら(English)

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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