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横行する個性、求められる社会の構成員としての個人

竹中 克久 竹中 克久 明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授

組織とは舞台である

竹中克久専任講師 私の研究対象は「組織」である。社会学的な観点から「組織」にアプローチし、組織と個人や社会と個人の関係性やあり方を考察している。そもそも、「組織」とは何なのかということを考えてみたい。
 これまで組織は“有機体”や“機械”といったメタファーで語られてきたが、私は「組織は舞台」と考えている。人がいろいろな役割をこなし、脚本(目標)に向かって演じている舞台が組織である。だだ、個々が自分の役割をこなすだけではなく、組織の変化・成長のためにアドリブも求められる舞台だ。舞台は観客に向かって開かれて、観客を集めるべきものだが、注目されたくない組織は、観客に興味のないものを演じて観客を遠ざける傾向がある。たとえば天下り先の組織や税金の無駄使いと指摘されているような組織だ。また、東日本大震災で原発の安全神話は崩れたが、それまで電力会社のPR館などは、原発の安全性を訴求することを舞台で演じ、震災で顕わになった裏舞台は一切見せない演出が施されていた。「組織は秩序を有する合理的な客観的事物」ではないのである。
 では、舞台である組織に、今どのような変化が起き、何が演じられているのか。企業や病院、学校といった組織は、一見すると個別の対象に見えるが「組織」という観点に立つと類似性があり、そこに社会や個人が抱える共通する問題や歪んだ構造が見えてくる。

病院・学校に見る敵対関係

 病院という組織がある。病院は病気を治すところであり、今までは「医師という専門家に任せておけばいい」とされてきた。しかし現在は、その前提が崩れている。たとえば、インフォームドコンセントが一般的になりつつあることもそれを物語っている。医師は、医療行為について患者によく説明をし、患者の十分な理解の上で、医療方針について患者と合意することが求められるのである。かつて医師は情報強者であり患者は情報弱者であったが、今ではインターネットの普及等で、患者も多様な情報を入手できる環境にある。医師と患者が情報交換のプロセスに力を注ぐようになり、情報の質と量で両者が敵対するといった、歪な構図が生まれている。
 同様なことは学校でもいえる。本来教育というのは学校と家庭が協力し合うものであり、教育を包括する共同体であるべきだ。しかし、今多く見られるのは、家庭と学校が、教育を互いに押し付け合っている光景である。家庭は学校に対して過剰な依存があり、学校は家庭での躾などの教育に期待する。本来協力し合うべき両者が権利と権利をぶつけ合わせる敵対関係にある。病院においても患者は自らの権利を振りかざす傾向にあるが、そうした姿の究極的な存在が、モンスターペイジェントであり、モンスターペアレントであろう。

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