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「コラーゲンが美肌に効く」にチョット待った!

石川 幹人 石川 幹人 明治大学 情報コミュニケーション学部 教授

人の“信用する傾向”が利用される

人は体験の中から学習します。誰でも、成功を体験すれば、それをもとにして次も同じように対処しようとします。そしてまた、たまたま成功すると…。人はこの成功の体験談を身近な人に話すかもしれません。すると、本来は偶然の成功例だったかもしれない内容が、誰もが成功するパターンであるかのように広まることがあるのです。他人の個人的意見であっても、社会の常識であるかのように考え、信用してしまう傾向が人にはあるからです。

この傾向は、私たちの心に深く根ざしています。かつて100人程度の集団で暮らしていた先史時代に、人は生き抜くために周りの人々の行動を模倣し、協力し合うよう進化していったからです。近年の研究で、他人の行動を見ただけで自分が行動したのと同様に動作する、「ミラーニューロン」(鏡のように働く神経細胞)が脳の中に見つかっています。それが人の共感や同調の根源とみなされています。愛用者の体験談を表示する広告などは、人のこうした傾向を利用しているのです。

ここに一見論理的な説明が加わると、さらに信用されやすくなります。たとえば、「コラーゲンを摂ると美肌に効く」理由として、「コラーゲンは皮膚の構造や柔軟性を保つ役割を担っている」などと、人体の構造やコラーゲンの機能についての説明がつけられます。すると人々は、「コラーゲン摂取が肌に良いことは科学的に明らかなのだ」と思いがちになるのです。しかし、コラーゲンを食べたからといって、胃や腸の中で吸収され、それが肌までそのままの形で運ばれ、機能するということは基本的にありません。食べたコラーゲンが、肌のコラーゲンに再合成されるというのは、単なる希望的観測に過ぎないのです。コラーゲンを売りたい事業者が、この否定的論理を説明することはありません。

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