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TPPの本質を理解し、変革のチャンスとすべき

作山 巧 作山 巧 明治大学 農学部准教授

生産者も消費者も変わるチャンス!!

 農家の方々には、TPPに対する懸念が広がっています。しかし、今回の合意では重要5 品目の多くで関税が残され、当面の影響はそれほど大きくないと考えています。他方で、これから政府が打ち出すTPP対策の中には、やる気のある農家を支援する内容が盛り込まれるはずです。農業の6次産業化、高品質の農産物によるブランド化、輸出の促進といった様々な対応が考えられます。このように、影響は大きくない一方で新たな支援策が得られるのですから、ピンチをチャンスに変える機会と捉えるべきでしょう。また、消費者も目先の安さにとらわれるだけでなく、生産者を応援するためにできるだけ国内産を購入してもらいたいと思います。消費者一人一人の行動が、日本の農業を守り、日本人の心の故郷である美しい田園風景を守ることにつながるのです。

 日本を含めた先進国に共通する問題は、加工食品や外食の普及で生産者と消費者の距離が遠くなり、お互いのことがよく分からない点にあります。このため、農業団体は、消費者の理解を求める前に政治家に頼る一方で、都市の消費者には保護に依存する農家というイメージが広がっているように思います。他方で、すでに直販を始めている農家は、「新鮮な野菜はこんなに美味しいんだ」という消費者の声に感激し、農業へのモチベーションが高まったといいます。TPPは、やる気のある農家を育み、農家と消費者の相互理解と関係改善を促すチャンスとすべきです。政府は、そのための前向きな支援策を打ち出すべきでしょう。

●TPP交渉の裏側を詳しく知ることができる、作山准教授の著書が発刊されています。
「日本のTPP交渉参加の真実」(明治大学社会科学研究所叢書)

>>英語版はこちら(English)

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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