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災害に強いまちづくりのために ―「事前復興」からのアプローチ―

明治大学大学院 政治経済学研究科 特任教授 中林 一樹

二つの「そうぞう力」で想定外の災害を乗り越える

 災害に強い都市は、行政ではなく市民によって創られる。住宅を耐震補強し被害を減らすことは、市民自ら取り組んではじめて実現するし、市民の防災意識が行政を動かす。災害への取り組みは、自助7割、共助2割、公助1割と考えるべきだ。自助にみんなが取り組んでこそ、はじめて隣の人を助ける余裕ができる。それが共助だから、自助のまちが共助のまちなのだ。自助と共助の取り組みが、行政の支援である公助を有効にする。自助も共助も一人ひとりの取り組みが基本である。その際に重要なのが二つの「そうぞう力」だ。起きていない災害を想像する「想像力(Imagination)」は不可欠である。自宅はどうなるのか、まちはどうなってしまうのか。そして、それに対してどんな対策をすべきなのか、我が家の対策を工夫する力が「創造力(Creation)」である。
想定外は二つある。一つは行政が被害想定していた被害規模をはるかに上回る被害が発生すること。これは行政のトップである、総理大臣や知事、市長の課題である。もう一つの想定外は、「自分は被災者となるとは思っていなかった」という想定外だ。我々「市民一人ひとりの想定外」である。市長も、市民一人ひとりの想像力と創造力を育むことで、「予想していた被害規模をはるかに上回る」想定外への対策が可能となる。事前復興とは想定外への取り組みでもある。すなわち、「想定外を乗り越えるには、二つの『そうぞう力』による自助しかない」ことを、みんなに学んでもらいたいし、そうした実践的研究を進めたいと思っている。

※掲載内容は2014年12月時点の情報です。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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