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2023.08.02

再生可能エネルギーを増やすには新しい電力ネットワークが必要

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次世代電力ネットワークとして注目されるマイクログリット

 日本では、電力会社が上手く管理し、こうした電力ネットワークのメリットを活かし、脆弱さを露わにすることはほとんどありませんでした。それが、とうとう露呈してしまったのが北海道で起きたブラックアウトです。

 地震によって、最初に苫東厚真火力発電所の2号機と4号機が停止したことにより、1号機に過度の負荷がかかり、需要と供給のバランスが崩れて周波数が低下していき、これが北海道内の様々な発電所に伝播し、ついに、北海道という広大な地域すべての発電所が停止したと考えられるのです。

 また、2019年に千葉県で長期大停電が起こりました。この発端は、台風の直撃により電柱や鉄塔が倒れたことです。

 そもそも電柱や鉄塔を建て直し、新たな電線を引き直すこと自体大変な作業で、時間がかかります。しかも、電力ネットワークは張り巡らされているので、電線を引き直した地域から順次送電するということも簡単にはできないのです。

 そのため、広い地域で長期間の停電が続くことになったのです。

 このように、電力ネットワークの脆弱さが露わになる事故が続いたことで、次世代電力ネットワークに向けた議論が活発になりました。例えば、そのひとつがマイクログリッドです。

 マイクログリッドとは、広域の電力ネットワークに依存するのではなく、いわば、電力を地産地消しようという考え方です。

 この考え方自体は20年以上前からありますが、現在では、例えば、地域内の再生可能エネルギーによる小規模な電力施設を活用し、災害などが起きても、地域ごとに電力を確保することができる、電力の分散化という仕組みとして注目されています。

 すなわち、マイクログリッドが上手く機能すれば、災害や事故などによる停電の復旧を地域ごとに進められ、結果として復旧を早めることができますし、電気の需給バランスを保つために地域間で電気の融通をするなど、助け合うことも可能になると考えられます。

英語版はこちら

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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