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私たちの身近にある熱エネルギーには多様な可能性がある

川南 剛 川南 剛 明治大学 理工学部 教授

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私たちは、電気や熱などのエネルギーを必要な形に変えて使うことで快適な生活を享受しています。しかし、特に熱エネルギーから仕事に変換する効率を見ると、実は、半分以上が使われずに熱として捨てられているのです。このロスをなくし、エネルギーをより有効に利用する様々な技術の開発が進められています。

熱エネルギーの多くが捨てられている

川南 剛 私たちの研究室では、主に、熱エネルギーの有効利用について研究しています。熱エネルギーとは温度が高いところから低いところに流れるエネルギーで、簡単に言えば、その物体の温度が高いほど、熱エネルギーの質が高いということになります。

 この熱エネルギーは一定の状態でとどまっていることはなく、常に、温度の高い方から低い方に流れています。

 その流れを止めることは絶対にできませんが、その流れを速くしたり遅くしたり、コントロールすることで、人にとって上手く利用できるようにすることが、私たちの研究の最も根幹的な部分になります。

 と言うと難しく聞こえるかもしれませんが、私たちは、毎日の生活の中でそうした工夫を行っています。

 例えば、冬、気温が10℃で、体温が36℃だと、体表面から外気に向かって熱エネルギーはどんどん流れていってしまいます。そこで、私たちは、セーターやダウンを着て熱の流れをコントロールしているのです。

 こうした工夫をさらに進めていくと、冬の低温の熱を夏の暑いときの冷房の熱源として利用したり、暖かい地域の熱を寒い地域の暖房の熱源に利用するなど、時間的なギャップや地域的なギャップを埋めるエネルギー利用の研究に発展していくのです。

 その背景には、エネルギー資源の有効利用という問題があります。

 例えば、自動車エンジンの熱効率は最新の技術でも40%くらいです。では、エンジンで燃料の燃焼によって生み出された熱から車を動かす回転の仕事に変えられたエネルギーの半分以上はどうなっているのかというと、その多くが大気に放熱されているのです。

 つまり、私たちドライバーはガソリンスタンドで支払った燃料代の半分以上を、廃熱と言いますが、熱の形で大気にただ捨てているということになるのです。

 では、私達の家庭に届く電気はどうかと言うと、火力発電設備では技術革新により熱効率も60%前後まで達していますが、半分近くのエネルギーが、やはり、ただ放熱されたり、設備の冷却水に流れ、その後、海や大気に捨てられているのです。

 こうした廃熱を、上手く回収して再利用できないか、というわけです。

 もうひとつの問題として、CO2の排出削減があります。

 熱効率を高めることは、当然、CO2の排出削減に繋がります。つまり、環境問題の観点からも、私たちの身の回りにある機械や道具、発電所などの施設において、熱効率を高めることは非常に重要な課題なのです。

 近年では、ゴミなどの焼却施設から出る熱エネルギーを温水プールに使ったり、積雪の多い地域ではロードヒーティングに使うなどの社会的な取り組みが進められています。

 また、エアコンや冷蔵庫、冷凍設備など、私たちの暮らしを快適にする道具の効率を高めたり、それらの熱エネルギーを効率的に使うための研究も重要です。

 それは、熱資源の有効利用やCO2の排出削減であるとともに、私たちの、より快適な暮らしに直接関わる取り組みだからです。

 私たちの研究室では、そうした、私たちの身の回りや、毎日の生活を快適にするための研究開発を中心に進めています。

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