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「伝統知」には、サステイナブルな環境をつくる知恵がある

川島 範久 川島 範久 明治大学 理工学部 専任講師

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近代以降、私たちは、自然を制御するという考え方で街づくりやインフラ整備を推進してきました。しかし、近年、大規模な自然災害が多発するようになっています。それを防ぎ、サステイナブルな街をつくっていくためには、もっと堅牢な人工環境を構築していかなければならないのでしょうか。

見えてきた都市インフラの限界

川島 範久 現代の都市は、津波に対する巨大防潮堤や土砂災害に対する砂防ダムが象徴するように、より堅牢で強靭なものを目指してきました。その根底には、人は自然を制御できる、あるいは、制御することは人にとって良いこと、という考え方があります。

 例えば、日本では、戦後の高度経済成長期に、全国隅々にまで電気や水道、下水処理システムなどのインフラが整備されていき、人々はその利便性を享受するようになりました。

 実は、そうしたインフラは、人が自然と関わらずに生きていけるシステムであり、さらに、それをより堅牢で強靱にしていくことで人を自然から守ろうとしてきたわけです。

 そうした技術とその発展こそが都市のサステイナビリティを担保するように思われたのです。

 しかし、2011年の東日本大震災と、それにともなう原発事故が象徴するように、人が自然の力を想定し、制御するのは現実的に難しいことが思い知らされてきました。

 実際、近年多発している大規模な自然災害によっても都市インフラは寸断され、すると、住民は生きていくのも困難な状況に陥ってしまいます。

 さらに、人口が増加し、経済も成長していた時代には可能だったインフラのメンテナンスが、低成長、少子化の時代になり、厳しくなってきています。その傾向は、特に、地方や過疎地域において顕著になっているのです。それは、都市インフラの限界を表しているとも言えます。

 では、やはり、人は自然に翻弄される存在なのかというと、むしろ、その考え方自体に問題があったのだと思います。本来、自然は頼りになる存在なのです。

 実際、近代以前の人々は、自然との連関の中で暮らす、いわば自然と共生する技術を持っていました。それは、決して太古のことではなく、現代でも、中山間地域や離島などの集落に見ることができます。

 そうした、自然との連関の中で生きる知恵、「伝統知」にあらためて注目し、そこから学ぶことが、現代における都市の本当のサステイナビリティに繋がると考えています。

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