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人と機械の関わり方から、人と人のコミュニケーションを考える

小林 稔 小林 稔 明治大学 総合数理学部 教授

コミュニケーションは自分の居場所を獲得するための手段

 そもそも、コミュニケーションとはどういうことなのでしょう。もちろん、基本は、なんらかの情報を伝えることです。しかし、情報が伝わればそれで完成かというと、そうではないと思います。

 例えば、業務上の連絡だとか、タクシーの運転手さんに、右折して、左折して、と出す指示はコミュニケーションと言えるでしょうか。

 では、やさしい口調で、右に曲がってください、と言ったらどうでしょう。あるいは、慌てたような早口で、右に曲がれ、と言ったらどうでしょう。すると、右折という情報に加えて、他のなにかが運転手さんに伝わるのではないでしょうか。それは、その人の気持ちだと思います。

 人が常に一定の口調や表情で話すわけではないのは、伝えたいのは情報だけでなく、そこにある自分の気持ちも伝えたいからです。

 それは、自分の気持ちを伝えることで影響を与え、相手の気持ちも変えたいからです。それが人と人のコミュニケーションなのではないかと思います。

 では、人はなぜ、そういったコミュニケーションというものを行うのか。それは、人が社会性をもった存在だからだと思います。

 人は自然の摂理に従って、ただ生きているわけではありません。むしろ、大自然の中ではとても弱い存在である人は、群れることによって安全と安心を高めました。

 それによって人類は繁栄し、その群れはコミュニティとなり、さらにどんどん大きくなります。すると、今度はそのコミュニティの中で、余計な心配をせずに安心して暮らせ、自分らしく生きられる居場所を獲得しようとします。

 そのためには、周りの人との間に信頼関係を築くことが必要で、それは、気持ちを伝えあうことによって成り立っていくからです。気持ちを上手く伝えあうことができる人たちの間に生まれるのが信頼であり、そんな人たちといることが自分の居場所になるのです。

 コミュニケーションはそのための手段です。だから、言葉や文字はもちろん、表情や態度や動作、あるいは声の調子や文字の書き具合など、実に様々な手段がコミュニケーションになるのです。

 例えば、明るいピンクの服を着ることも、コミュニケーションの手段です。楽しいことがあったから、あるいは、楽しくなりたいから、という気持ちが伝わると、楽しい時間や空間を共有しあえる仲間ができていくことに繋がるのです。

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