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人口減少・少子高齢化社会がはらむ問題解決のために 「ソーシャル・マーケティングで意識を変革せよ」

明治大学 政治経済学部 教授 木谷 光宏

求められる変革のためのプログラム

 マーケティング分野のなかに社会・文化的福祉の改善を目指す「ソーシャル・マーケティング」というものがある。ソーシャル・マーケティングとは、米国の経営学者(マーケティング論)フィリップ・コトラーが提唱したもので、営利事業組織である企業の利益中心のマーケティングに対して、非営利組織にもマーケティングの考えを応用するなど、社会との関わりを重視するマーケティングの考え方である。ソーシャル・マーケティングにおいては、「人々の考え方や習慣を変革するためのプログラムを企画し、実践・管理するためのマネジメント技術」が求められるが、それを適用することで社会の諸問題を解決に導く可能性があると考えている。日本において現在、最も懸念すべき問題の一つが「人口減少・少子高齢化社会の到来」だ。人口の減少は、労働生産性の縮小を促し、経済成長率を低下させることになりかねない。この状況を乗り切っていくことが喫緊の課題と考えている。
 その解決のための手段の一つが高齢者の活用である。高齢者の仕事は単純作業になりがちだが、今までの経験を活かした有効なキャリア活用が可能だと思う。たとえば、育児に関して経験豊富な高齢者がサポートすることも考えられる。先ごろ起こった、ベビーシッターによる痛ましい事件も未然に防ぐことができるだろう。高齢者は育児の対価として、将来、自分の介護に活用できるポイントを付与されるような仕組み(プログラム)があってもいい。いずれにせよ、お互いに助け合う相互扶助の精神に基づいた仕組みづくりが求められる。高齢者に加えて女性の労働力を活かすことも重要だ。1986年に男女雇用機会均等法が施行されたが、それ以降、木谷ゼミにおいても女性のライフスタイルやライフデザインを考えることをテーマにしている。社会の現実を見据えて、女性の新しいライフスタイルとなるモデルを構築していく必要がある。「人口減少・少子高齢化社会」がはらむ問題解決のために、「人々の考え方や習慣を変革するためのプログラムを企画し、実践・管理する」ソーシャル・マーケティングは有効と考えている。

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