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人口減少・少子高齢化社会がはらむ問題解決のために 「ソーシャル・マーケティングで意識を変革せよ」

明治大学 政治経済学部 教授 木谷 光宏

マーケティングは人が人に働きかけるもの

 では、そもそもマーケティングとは何かを考えてみたい。一般的には、企業などの営利組織において、営業活動やリサーチ、販促・プロモーション、顧客サービスなど、顧客に価値を提供して対価を受け取るビジネスの諸活動と定義付けられるが、そこには必ず「人が人に働きかける」行動があり、研究対象としてのマーケティングは「人が人に働きかける技術」を学ぶ学問といえるだろう。具体的に私は、コミュニケーション能力やリーダーシップ向上などのパーソナルスキル向上と、組織行動論や販売促進などの理論と実証的考察を主な研究分野としている。
 コミュニケーションに関して、米国の心理学者ジョセフ・ルフトとハリー・インガムが提唱した興味深いモデルがある。「ジョハリの窓」と呼ばれているものだ。自己には、自分も他人も知っている「開放の窓」と自分は知っているが他人は知らない「秘密の窓」があり、一方、自分は気付いていないが他人は知っている「盲点の窓」と誰からもまだ知られていない「未知の窓」がある。これらは固定されたものではなく、相手に自己開示することや相手からのフィードバックで「開放」の領域は広がり、またその過程で「未知」の領域に気付くこともある。つまり「開放の窓」が大きいほどコミュニケーションは円滑になり、自分および他者への理解が深まり自己成長を促進させる。特に組織などでリーダーの役割を担っている人は、効果的なリーダーシップを発揮するための重要な要素ともなってくる。「開放の窓」を拡げていくことが、コミュニケーションにおいてもリーダーシップ向上においても重要なことなのだ。
 中国の鏡清禅師が説いた「啐啄同時(そったくどうじ)」という言葉も、組織やリーダーシップを考える上で示唆に富んでいる。卵の中の雛鳥が殻を破って生まれ出ようとするとき、卵の殻を雛が内側からつつくことを「啐」といい、親鳥が外からつつくことを「啄」という。この「啐啄」が同じ場所で同時にタイミング良く行うことで殻は破れ雛鳥は生まれるのである。この親鳥と雛鳥の関係は、人材育成をはじめとした組織における上司と部下、リーダーとメンバーのあり方にも当てはまるだろう。

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