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運動は身体だけでなく頭の健康寿命ものばす

明治大学 農学部 准教授 加納 明彦

いま、日本は、世界でもトップクラスの長寿国です。ある研究では、2007年生まれの半数が107歳まで到達する、と言われています。長寿は喜ばしいことですが、さらに、介護を必要としないで暮らせる健康寿命を延ばすことが、いま重要視されています。そのために、私たち一人ひとりが日常でできるアプローチとして、運動が注目されています。

正しい運動は健康寿命を延ばしてくれる

加納 明彦 近年、日本人の平均寿命は、男性が80歳を越え、女性は90歳に近づいています。

 一方で、日常生活に制限のある「不健康な期間」は、平成22年の厚労省の調査によると、男性は9.13年、女性は12.68年となっています。せっかく寿命が延びても、10年間ほどは、例えば寝たきりの生活を送らなくてはならないのでは、とても残念です。

 この不健康な期間をできるだけなくし、自力で自分のやりたいことができる健康な期間、いわゆる健康寿命を延ばすことが、いま、社会的にも重要な課題になっています。

 そこで、医学や生化学など様々な分野で研究が行われていますが、私たち一般の生活者が、日常において自ら取り組める活動もあります。それが、運動です。

 例えば、「不健康な期間」となる原因のひとつに、サルコペニアと呼ばれる状態があります。加齢や疾患などにより、筋力などの身体能力が低下し、日常生活の活動が困難になることです。

 もちろん、加齢にともなって筋力が落ちていくことは自然な現象ですが、運動によって、それをできるだけ遅らせたり、あるいは、ある程度回復させることができるのです。

 ところが、日本人の運動習慣の有無を調べると、20代から40代が低く、60代以降になると高まります。

 つまり、学校を卒業し、体育の授業や部活動などがなくなると運動する機会が減り、仕事中心の生活を送るようになるのです。そして、仕事をリタイヤする60代になると、時間的な余裕が持てると共に、健康の重要さが再認識され、ウォーキングなどを始める人が多いのです。

 確かに、ウォーキングは有酸素運動として有効ですし、手軽にできるので運動習慣をつける上でも良い運動と言えます。

 しかし、一般的なウォーキングでは、筋力の低下を緩やかにしたり、回復させるという意味では、若干、強度に欠けるのです。

 もう少し運動のことを理解すれば、自分にとって必要な運動を効果的に行うことができるようになります。

 例えば、筋肉には、大きく分けると、速筋繊維と遅筋繊維があります。速筋繊維は短時間で大きな力を出す特徴があり、遅筋繊維は小さな力を持続的に発揮する特徴があります。

 実は、加齢にともなって萎縮するのは、主に速筋繊維なのです。

 高齢になると、重い物を持ち上げることができなくなったり、脚を引き上げる力が弱まって、転んだり、つまずきやすくなるのも、速筋線維の衰えが主な原因と考えられます。

 この速筋繊維を活性化させるためには、負荷の軽いウォーキングなどの有酸素運動ではなく、筋力トレーニングなどの無酸素運動が有効なのです。

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