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美術品の価格が分かると、国の文化度が上がる!?

明治大学 専門職大学院 会計専門職研究科 教授 池上 健

美術品を「表」に出す様々な制度がある

 つまり、美術品は実際に売買されて初めて、資産価値が明らかになるわけです。

 例えば、個人が画商などの業者に美術品を売れば、業者の購入価格として、その美術品の市場価値が記録に残ることになります。

 しかし、個人間の売買なら、価格の記録を残さないこともできます。

 その結果、コレクターからコレクターへ、その美術品の価格が表に出ないまま地下で取引され、ついには日本から流出してしまうことも起きています。

 また、市場価格が分かることによって課税の対象となることを避けるために、美術品が死蔵されるケースも多くあります。

 つまり、美術品の価額が分からないということによって、課税漏れが起きて税収が減ることになり、また、流出や死蔵が起きて、それは日本の文化の損失にもなるわけです。

 そこで、美術品が地下で取引されたり、死蔵されるのを防ぐために、日本でも様々な税の制度が導入されています。

 例えば、相続した重要文化財などの特定の美術品を美術館などで一般公開すれば、その期間、相続税の納税が一部猶予される制度。

 国や特定の公益団体に美術品を寄付すると、その分の所得税や相続税が非課税とされる寄付優遇税制。

 さらに、相続税の物納における美術品の収納順位を引き上げてほしい、という要望も業界から出ています。

 しかし、こうした制度が増えてくると、一方で、金持ち優遇制度だという批判が出てきます。

 確かに、税の軽減制度は、国が補助金を出すことと同じです。その意味では、美術品を所有する人に対する優遇には不公平を感じるかもしれません。

 しかし、一方で、美術品には文化的価値があります。所有者に地下取引や死蔵させないようにすることは、社会に対する貢献であると考えられます。

 例えば、地方の旧家の蔵に眠っていた文化的価値の高い美術品や骨董品を公開するメリットが所有者にあれば、それは公立美術館で公開され、県外や国外からも来場者を呼ぶことになるかもしれません。すると、それは経済効果を生み、地方創生にも繋がるかもしれないのです。

 また、そうして表に出れば、それらが相続されるときには、相続税の課税漏れを防ぐこともできます。

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