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2020.01.15

自殺未遂者の再度の自殺を防ぐ有効な支援プログラムがある

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自殺企図者の約9割がなんらかの精神疾患に罹患していた可能性がある

 自殺により亡くなった人の約9割が、亡くなる前に何らかの精神疾患に罹患していた可能性があると報告されています。また、自殺企図後に救急医療機関を受診した患者さんにおいても精神疾患の罹患割合が高いことが私たちの研究でも示されています。

 しかし、自殺により亡くなった人の多くは、適切な精神医学的評価や心理社会的支援を生前に享受できていないといわれています。そのため、WHOはメンタルヘルスの向上が自殺予防の鍵になると訴えています。

 実際、自殺リスクの高い人は、興味や喜びの消失、希望のなさといった抑うつ症状や、心理的視野狭窄のために、自ら支援を求める力が弱くなっていたり、社会的に孤立した状態にあることが少なくありません。

 例えば、うつ病になると、こころの視野が狭くなったり、本来の思考力・判断力・思考の柔軟性が低下することがあります。気分が晴れていれば、自分には家族もいるし友人もいることに気づけますが、うつ状態になるとそれが見えにくくなるのです。

 自殺予防においては、精神医学的な治療に加えて、一人一人の生活背景や価値観に寄り添った心理社会的支援がとても重要になります。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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