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増税による負担増ばかりではなく、受益増についてみんなで考えよう

明治大学 政治経済学部 専任講師 倉地 真太郎

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消費税が10%に上がりましたが、それまでの間、軽減税率や還元ポイント導入の議論が盛んに行われました。しかし、財政学の観点からいえば、軽減税率は非常に非効率な制度です。なぜ、軽減税率の議論が盛んだったのか、それは、税本来の議論が尽くされず、その意義が見失われているからです。

税金の制度を決めるのは民主主義

倉地 真太郎 国の税金の課税制度や使い途は、国会で審議されて決められることは、誰もが知っています。ところが、税金は強制的に徴収されるだけで、自分とは関係のないところに使われていると、私たちは思いがちです。

 それは、日本では、「財政民主主義」がきちんと機能していないからかもしれません。

 一般に、「量入制出」という言葉があります。「入るを量りて、出づるを制す」という意味で、例えば、毎月入る給料を考えて、その範囲内で支出しよう、ということです。

 しかし、財政では、「量出制入」と、逆の考え方をします。必要なニーズがあれば、その分、税金で集めよう、ということです。

 すると、そのためには、様々なニーズがあり、どう再分配すれば良いのか、だから、どう課税すれば良いのか、それをしっかり議論したうえで実行することが重要になります。そうしなければ、みんなの納得は得られません。

 すなわち、私たち納税者も、国会や地方議会の議論に関心をもち、注目することが大切です。

 ですが、先の参院選の投票率が50%を下回ったように、日本では納税者による政治への関心が高いとはいえません。それどころか、日々の生活で政治の話をタブーとする人も少なくありません。ですが、政治への意識を高めることができなければ、税金は自分とは関係のないところに使われている、と思うのはなぜか、ということが分からないと思います。

 当たり前のことですが、社会には様々な立場の人がいます。しかし、日々の暮らしで接する人の範囲は意外と狭く、社会の多様性を忘れがちです。正社員で安定した収入のある人もいれば、非正規社員で収入が少なかったり、不安定な人、失業している人もいます。子育て世帯もあれば、シングルマザーもいるし、高齢者もいます。

 そこには、それぞれの様々なニーズがあります。ニーズが異なれば必要な再分配の形は異なります。一律に給付をするという単純な話ではなく、様々なニーズの層を再分配の仕組みに組み込むことができれば、みんなが安心して暮らせる、格差の少ない社会になっていくと考えます。

 現在困っていなかったとしても、将来ニーズを抱えることがあるかもしれません。いまは正社員で安定した収入のある健康な人でも、自分が子育て世帯になること、高齢になること、あるいは失業したり、病気になることもあるかもしれません。

 そのとき、必要な支援を受けられる社会であることを理解していれば、税金は自分とは関係のないところに使われている、という思いは薄れるはずです。

 しかし、いま、現実の社会では、様々な立場の人たちの間で分断が広がっています。それは、効果的な再配分を行うための議論が足りていないからではないでしょうか。すなわち、財政のことを民主主義的に決めるという考え方、「財政民主主義」が十分に浸透していないのです。

 確かに、これまでの話は当たり前のように聴こえてしまいます。ですが、私たちは日本の状況ばかりを見ていると、このことになかなか気づきません。例えば、他国と比較してみることで、私たちは、当たり前と思っていたことが、実は、当たり前ではないことに気づくことがあります。

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