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グローバル化する憲法 ―求められる人権保障の多層的システム―

江島 晶子 江島 晶子 明治大学 法学部 教授

共時的な日本国憲法と国際人権条約

憲法のグローバル化の進展は、一国が自由に憲法を改正できる時代ではないことを意味しています。他国からどのように見られてもいい、投資してもらわなくてもいい、観光に来てくれなくてもいい、といった鎖国的な閉じられた社会でもかまわないという人は少ないでしょう。グローバル化に対応した“開かれた社会”であろうとすれば、国際社会の視線、そして国際社会の中で何が共通価値なのか進行中の議論に常に注意を払う必要があります。日本でも、現在、憲法改正の議論がありますが、「憲法のグローバル化」という観点からすると、日本の状況は国際社会からはどのように見えるでしょうか。
その前提として、現行憲法である日本国憲法に立ち戻ってみます。日本国憲法は、平和主義、基本的人権の尊重、国民主権を基本原理に掲げています。この憲法は1946年に公布、1947年に施行されていますが、それは第二次世界大戦が終結し、ナチスのホロコーストに象徴される、大規模な人権侵害にショックを受けた国際社会が、人権は「国内問題」ではなく「国際問題」であると認識した時期に重なります。この認識は、1948年の世界人権宣言、そして数多くの人権条約に結実していきます。日本はその大半を批准しています。憲法とこれらの条約は「人権保障」という目的を共有しており、人権の実現過程において両者が密接に結合していれば、人権保障の実効性は高まるはずです。どのように憲法と国際人権条約を接合させるか、「人権保障の多層的システム」を構築することが私の研究テーマです。

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