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物に「痛い!」と言ってもらえる!?非破壊検査技術AE法

松尾 卓摩 松尾 卓摩 明治大学 理工学部 准教授

最近、インフラ設備の老朽化が指摘されるようになってきています。しかし、検査要員の不足やコストの問題もあり、検査や点検が遅れたり、見落としなどが出るようになっているといいます。そこで、近年、注目されているのが検査対象物を壊すことなく、内部の状態を確認できる非破壊検査技術です。

インフラ設備の老朽化が進む一方で、検査要員の数が足りなくなっている

松尾 卓摩 物は造られて稼働しはじめると老朽化が始まります。安全に使い続けるためには検査が必要不可欠です。それを怠ると重大な事故に繋がりかねません。

 記憶に新しいところでは、2012年に起きた中央自動車道の笹子トンネル天井板落下事故では、9名の方が亡くなっています。原因は、天井板の吊り金具や、留めていたボルトの老朽化が指摘されています。

 また、2017年には、走行していた新幹線の台車から亀裂が見つかりました。このときは、乗務員が異臭や異音に気がついて運転をとり止めたため、大事には至りませんでしたが、約1千人の乗客がいたのですから、対応が遅れていると大惨事に繋がりかねませんでした。原因は、おそらく、検査員の見落としではないかと思われます。

 日本には、工業製品や構造物に対する「安全神話」がありました。高い安全基準を設け、それをクリアするレベルの高い技術力があったからです。しかし、忘れてはならないのは、それに加え、レベルの高い検査員がいたことです。

 例えば、目視とハンマーなどで叩く打音による検査を行うベテランの検査員には、職人のような知恵と経験があり、異常箇所を的確に発見することができたといいます。それによって補修も素早く行えたのです。こうした検査員によって、日本の工業製品や構造物の「安全神話」は支えられていたのです。

 ところが、そうした人たちがリタイアしていくと、後を継ぐ若い人のなり手が少なく、検査員の人材が減ってきたのです。いま、日本は、インフラ設備の老朽化は進み、検査すべき対象はどんどん増えるのに、人手が足りないという状況に陥っているのです。

 つまり、インフラ設備等の検査や状態監視は必要不可欠であり、一方で、人手不足は進行する以上、異常を早期発見するシステムの構築が必要になってきます。

 そこで、私たちが研究しているのが、人的資源やコストを最小限に抑えた、高精度な異常検知技術である非破壊検査技術です。

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