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IPOバブルは金融リテラシー欠如の表れ!?

萩原 統宏 萩原 統宏 明治大学 商学部 教授

最近、新規公開株(IPO)の初値が公募価格を上回るケースが多く、IPOは儲かるというイメージが広がっているようです。ところが、IPOの株価は、公募段階の人気にもかかわらず、上場後に大きく下がるケースもあり、短期的には公募価格を下回ることも少なくありません。このような株価の推移はIPOバブルともいえる現象で、「貯蓄から投資へ」の流れを促進する上では、健全とはいえないと指摘されています。

公募価格を高率で上回る初値も、その後は下がるケースが多い

萩原 統宏 企業が上場するのは、市場から資金を調達するためですから、調達金額を増やしたい、これくらいの株価にしたいという希望があります。それを基に、証券会社と協議し、現在の市場の状況や、その企業の業績などが慎重に考慮され、入札を通じて、決定されるのが公募価格です。

 この段階ではまだ市場に公開されず、買うことができるのは、証券会社に購入を申し込み、抽選の結果、当選した人達になります。その際、証券会社は設定した価格に幅をもたせ、購入申込者に購入希望価格を確認します。つまり、自分たちが設定した株価が適正なものか、ある意味、投資家の反応を探るわけです。それが、公募価格の重要な意味であったと思います。

 その後、上場されるわけですが、そこで不特定多数の売り手と買い手の需給によって公募価格とは異なる株価がつきます。最初につく株価が初値ということになります。

 ここまでの慎重な段取りを考えれば、初値は公募価格とそれほど変わらず、上にずれることもあれば、下にずれることもあるという状況になることが考えられるのですが、最近は、非常に高率で上にずれるケースがほとんどです。

 差異率100%以上、つまり公募価格の倍以上になるケースも珍しくなく、なかには988%、なんと10倍以上にもなったケースもあるのです。そのため、IPOは高いリターンが得られる株として、購入申し込みが殺到しているといいます。

 ところが、上場後の株価の推移を見ると、下がっていくケースがほとんどです。今年6月、活発なテレビCMでよく知られていたフリマアプリを手がける企業が東証マザーズに上場され、公募価格3000円に対し、5000円の初値がついて話題になりましたが、それから3ヵ月後には40%下落し、ほぼ公募価格の水準になっています。

 もっとも、この企業の株価が今後、どう推移するのかは、この企業の業績が最大の要因であり、株式投資は何十年にもわたって長期的に行うものであることを考えれば、わずか数ヵ月の値動きで一喜一憂するのは早計です。

 つまり、IPOが高いリターンが得られるというのは、初値で売り抜けることを前提としていると考えられます。もちろん、それが良いとか悪いとかということではありません。株式投資にはいろいろな考え方があります。

 しかし、問題なのは、公募価格や初値、ましてや株式投資の仕組みなども理解しないまま、IPOは儲かるというイメージだけに飛びついている場合です。これでは、ある日、まさにバブルが破裂するように、足下をすくわれかねません。このことは、「貯蓄から投資へ」という言葉で表される政策がもつ、個人投資家の裾野を広げようという目的に貢献するものではありません。

 特に、株式投資に関心をもち、始めたいと思っている初心者の人たちには、いま起きているのはIPO「バブル」といえるような現象であることを認識し、リスクについて理解してもらいたいと思います。

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