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20世紀から21世紀の快適へ、スマートコミュニティが始まっている

明治大学 総合数理学部 教授 福山 良和

SCを評価するためのモデル化を実施

 私は、北九州市での実証実験に加わりました。これは、地方中核都市型のパターンとして、新日鐵住金の特定供給エリアによる実証実験です。コジェネ(ガスや石油などを燃料として発電し、その排出ガスの廃熱も、給湯や空調などの熱需要に利用する熱電併給システム)をベースロード電源と見立て、需要家180戸において、需要状況に応じて電力料金を変動させるダイナミックプライシングを実施しました。4年間の実証により、CO2の排出が25%削減したとの結果が出ました。これは、好結果といえるものです。ところが、この算出には疑問がありました。実は、この数字は、地域の様々な分野で、これだけ減ったはずだという数字を寄せ集めて足したものだったのです。なぜならば、分野ごとに独自に効果を算出するだけで、様々な複数の分野を対象とする算出モデルはなかったからです。しかし、SCの取り組みはそれでは正しく評価できません。例えば、地域の住人の生活行動を見ると、ダイナミックプライシングにより電気代が高くなるという日は、家族で家を出て、商業施設などに行きます。すると、家庭の消費電力は下がりますが、人が増える商業施設では、それにより消費電力が上がったはずです。個々の家庭と商業施設をそれぞれの分野と考え、その分野間の関係を組み込んだ計算を行わないと、正確な数字にならないのです。つまり、地域全体の効果を評価するには、分野ごとの個別の取り組みだけを評価して足し算するのではなく、電力、ガス、水道、交通、通信、産業、商業、家庭など、あらゆる分野の連携と相互作用を組み込んだ算出モデルが必要です。これが最初の課題となりました。

 そこで、自分が幹事役となり、電気学会で、上記の様々な分野の専門家に集まってもらい、SCの様々な分野の連携も含めたエネルギーの流れを記述するSCモデルを開発しました。これにより、SC全体のエネルギー及びCO2排出量を削減するための検討を行うことができるようになったのです。もちろん、SCのモデル化については始まったばかりであり、より緻密なモデル化のための課題はまだまだ山積みです。しかし、SCのモデル化を研究することにより、SCのさらなる課題がより明確になったのです。

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