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ネット依存によって、現代人の脳の構造が変わりつつある!?

明治大学 商学部 教授 大友 純

効率化の追求から生まれる「便利さ」と問題点

 さらに、精神障害に至らないまでも、「現代社会では、精神的な悩みを抱えている人々が増えつづけています。その背景として、携帯電話やインターネットの普及による急速なコミュニケーション手法の変化が挙げられます。これらが私たちの思考能力と言語能力の低下を導き、ひいては精神の衰弱を引き起こしているのです」(森田幸孝著『インターネットが壊した「心」と「言葉」』幻冬舎ルネッサンス新書,2011年)という指摘もあります。アメリカの大学教授も、学生たちの長文読解能力が急速に落ちていることや、自己中心的な思考に陥りやすくなっていることを指摘しています(ニコラスG.カー著『ネットバカ』青土社,2010年)。確かに、何らかの課題に直面したとき、最近では、SNSやインターネットを介して瞬時に答えを探し出すことができます。すると、人は深く思考する必要がなくなるし、答えが見つからない場合は、思考そのものを放棄してしまう傾向にあることを私も感じます。思考能力は低下し、物事を深く考えず、短慮で、自己中心的な若年層が増えているという指摘は、否定できません。

 確かに、スマートフォンやPCは便利な道具です。では、便利とはどういうことか。実は、この便利を追求することが人類の歴史であり、それが文明を生んできたともいえます。しかし、そこには代償もありました。例えば、産業革命で考えるとわかりやすいでしょう。産業革命は、機械によって大量の商品を効率良く生産するという便利な仕組みを構築しましたが、それまでの人の労力を機械によって置き換えたことによって、大量の失業者を生みました。つまり、産業革命の「便利さ」とは「効率」に他ならず、この効率の概念は、人を減らすことでもあったわけです。同じことが、IT革命でも起きています。その便利さとは、コミュニケーションの効率化の実現です。人と会って話す時間をかけたり、会うための移動をすることなく、効率良く情報を得ることができるようになりました。それは思考の効率化を招き、もはや人は深く考えなくても良いという「便利さ」を手に入れたのです。さらに、人的接触回数の減少は、人の孤立化を促進しました。IT革命の便利さは、コミュニケーションの効率と思考の効率に他ならず、この効率の概念は、他者と共感したり協調する感情をも減らしたのではないでしょうか。

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