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生まれる子の福祉を第一に考えて、生殖補助医療法の早期制定を!

明治大学 法学部 教授 石井 美智子

生殖補助医療法の制定のためには国民的議論が必要

 なぜ、こうした事件が起こり続けるのか。それは、日本では、社会情勢の変化や技術が進む生殖補助医療に対応する法整備をまったくしてこなかったからなのです。例えば、生殖補助医療は、どこまで許されるのか。凍結受精卵はいつまで保存して良いのか。同意書の取り方はどうするのか。生まれた子の親は誰なのか。何の法律もないのです。日本産科婦人科学会が会告で規制していますが、拘束力はありません。同学会は、卵子提供を認めていませんが、生殖補助医療を実施しているクリニックでつくる日本生殖補助医療標準化機関は独自のガイドラインで卵子提供を認め、2017年5月末までに76件の卵子提供が承認され、37人の子どもが生まれているそうです。その多くは、姉妹や友人等、知り合いからの卵子提供ですが、今年の3月には、NPO法人の卵子バンクを通じて提供された匿名の第三者の卵子による体外受精で初めて子どもが生まれたとの報道がありました。また、卵子提供や代理母出産を求めて海外へ行く生殖ツーリズムも盛んです。台湾で卵子提供を受けた日本人女性は2014~16年の3年間に少なくとも177人に上り、出産した女性は96人、生まれた子どもは110人いるとの報道もありました。日本の若い女性がお金のために、安全が確保されているのかわからない海外で卵子提供を行うケースも増えているそうです。世界中が同じ倫理観や価値観で共通の規則をつくるのは難しいことですが、少なくとも、まず、日本国内で生殖補助医療に関する法律を整える必要があります。このままでは、混乱も紛争も増えるばかりです。それは、一部の医療関係者や政治家に任せるのではなく、国民的にきちんと議論をしたうえで、法律を定めることが必要です。このままでは、子どもを授かりたいと願い、生殖補助医療を受けて、ようやく生まれた子どもの福祉や権利が損なわれる危険があります。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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