明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

裁判員制度は、実は司法の本質と相容れない!?

明治大学 専門職大学院 法務研究科 教授 手塚 明

裁判員制度は、2009年に始まり、今年で8年を迎えました。最高裁の調査によると裁判員の辞退率は年々高まっており、審理日数が年々伸びていることがその要因であるといわれています。しかし、問題点はそれだけでしょうか。この8年間をしっかりと検証することが必要です。

一般市民には負担となる実審理期間

裁判員裁判の実施状況について
裁判員裁判の実施状況について
 最高裁が公表している「裁判員裁判の実施状況について」によれば、裁判員候補者に選定されても、その段階で約30%の人が辞退を申し出、裁判員選任手続期日通知が通知された段階で、さらに約30%の人が辞退を申し出ているようです。辞退するには法定された事由によらなければなりませんが、裁判員選任手続通知が通知された段階では、「事業上の重要な用務を自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがある」ことを理由とする辞退が最も多いようです。会社員の方は、仕事を同僚などにお願いすることもできるのではないかと考えられますが、この辞退事由は運用上かなり広く認められているようです。というのも、法廷はだいたい午前10時頃から始まり、午後5時頃まであるので、裁判員に選任されれば、審理期間中はほぼ丸一日拘束されることになります。審理期間は事件によって異なりますが、自白事件でも実審理期間の平均は5.3日、否認事件となれば平均10日かかっています。これでは、会社員の方もかなりの負担となるでしょう。辞退事由を厳しくするのは難しいといえるかもしれません。今後、裁判員制度をより充実させていくためには、こうした運用上の問題点を改善していくことが必要です。それには、裁判所の力だけでなく、企業等の協力も得て、社会的理解が深まるようにしていく努力が重要でしょう。しかし、裁判員制度の意義を本当に実現していくためには、もっと改善しなければならない問題点があると考えます。

社会・ライフの関連記事

男か女かハッキリしたがる/させたがる不思議

2019.7.10

男か女かハッキリしたがる/させたがる不思議

  • 明治大学 文学部 准教授
  • 佐々木 掌子
遺伝子組み換えが怖いのは、目先の利益で行っていること

2019.7.3

遺伝子組み換えが怖いのは、目先の利益で行っていること

  • 明治大学 農学部 専任講師
  • 島田 友裕
人から、メタボやアレルギー性疾患がなくなる!?

2019.6.26

人から、メタボやアレルギー性疾患がなくなる!?

  • 明治大学 農学部 准教授
  • 石丸 喜朗
令和元年にあらためて思う、日本人は元号が好きだ

2019.6.12

令和元年にあらためて思う、日本人は元号が好きだ

  • 明治大学 法学部 教授
  • 加藤 徹
「縁」から見える日本の農村の多様性と持続性

2019.6.5

「縁」から見える日本の農村の多様性と持続性

  • 明治大学 農学部 准教授
  • 服部 俊宏

Meiji.netとは

新聞広告連動企画

新着記事

2019.07.17

フランス人はなぜデモを続けるのか

2019.07.10

男か女かハッキリしたがる/させたがる不思議

2019.07.03

遺伝子組み換えが怖いのは、目先の利益で行っていること

2019.06.26

人から、メタボやアレルギー性疾患がなくなる!?

2019.06.19

社会凝集力は偏見も生む。自分をもっと自由に解放してみよう!!

人気記事ランキング

1

2019.07.17

フランス人はなぜデモを続けるのか

2

2019.07.10

男か女かハッキリしたがる/させたがる不思議

3

2017.10.04

精神鑑定は犯人救済のために行うのではない

4

2014.09.01

緊急提言、人口減少社会に歯止めをかける ―方策は少子化対策、社会…

5

2018.05.23

衰える結婚、止まらぬ無子化 ――このままでは日本の未来が失われる

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム