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「人生にはいくつもの初心がある」 ~世阿弥の言う本当の意味とは~

土屋 恵一郎 土屋 恵一郎 明治大学 名誉教授(元学長・法学部教授)

自分の体験から実感した、現代に通じる世阿弥の言葉

土屋 恵一郎 能そのものは脈々と受け継がれ、いまや日本の伝統芸能となっています。しかし、「風姿花伝」をはじめとした世阿弥の著書は秘伝であったこともあり、読み継がれてきたわけではありません。世阿弥の著書が広く知られるようになったのは明治期以後です。そして、現代の私たちの生活に通じる言葉として解釈されるようになったのは、私の研究がきっかけになっていると思います。なぜ、私にそれが可能だったかといえば、私自身が能のプロデューサーだったからです。1980年に「橋の会」という能楽の会をつくり、能を広めるために、カフェや美術館、ギャラリー、東京駅構内などで能の公演をしてきました。その手法は、まさに世阿弥が町中や河原、寺社の仮設の舞台や、地方巡業を重ねて新たなファンを開拓していったことと同じです。世阿弥の言葉が現代に通じるというのは、私の体験に基づく実感なのです。

 最近では、私の著書が企業経営者を対象とした講演会などで紹介されていると聞きますが、皆さんもぜひ、世阿弥の本を読んでみてください。示唆に富んだたくさんの珠玉の言葉に出会えるはずです。そして、能を鑑賞してみてください。そこには、観る人一人ひとりに感動と、新たな発見があることと思います。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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