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協働のガバナンスが、社会課題を解決する。

源 由理子 源 由理子 明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 教授

討議する過程が、公共の福祉の創造につながる

 身近な例として、自治体における防災政策について考えてみよう。政策は行政サイドで作られるが、実際活動しているのは、行政に加えて地元企業、町内会、NPO、地域の小学校などの様々なアクターである。既に「協働」は存在している。そのようななか、地域のニーズに合った防災力を高めるために重要なのは、政策の形成・実施の各場面で、「討議の場」を持つことである。「討議の場」でそれぞれのアクターに求められる前提条件は二つ。一つは異なる視点からの意見を聞くことで、自らの意見を変えることも厭わない柔軟性。もう一つはリフレクション、自分たちがやってきたことを省察する「評価」の姿勢である。既存のものを常に問い直していくことによって、多様性を担保しながら、その地域にあった新しいものをつくりだしていくことをめざすのである。討議をすることが、お互いの考え方を理解する機会となり、他者の視点を入れた新たな意見を形成する過程となる。こうして形成された合意は、公共の福祉の創造につながると考えている。

評価とは、検証だけではなく、価値を引き出すこと

 そんな「討議の場」を提供する手段として、私が提起しているのが関係者参加型で行う「協働型評価」である。通常、政策や事業の評価は、その客観性を担保するために行われる第三者評価や、活動が計画どおり行われたかを見る担当者による内部評価がほとんどである。「協働型評価」では、政策形成にあたり、どのような社会をめざすべきかを討議し(ビジョン)、ある社会課題の解決に向けてどういう状態をめざすのか(目標)、そのために何をすべきなのか(戦略)という議論を行う。また政策実施後は、それらの戦略が果たして本当に有効であったのかを評価する。結果を検証するだけではなく、検討の結果から将来に向けた価値を引き出す評価方法である。
 「協働型評価」で重要なのは、「討議の場」が人々の意識・行動変容、意見形成に与える影響であると思う。その過程(プロセス)を共有することが、異なるアクター間で共通の何かを生み出すきっかけになるのではないか。

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