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公文書の隠蔽や改ざん、忖度。防ぐのは我々のシビリティ

西出 順郎 西出 順郎 明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 教授

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近年、政府要人の不正や、行政の忖度を隠蔽するために、公文書の廃棄や改ざんが行われているかのような動きが続いています。マスコミなどでも大きく報じられていますが、その本質的な問題が伝えられていない、という指摘もあります。なにが問題で、なにを追求しなければいけないのか、私たち国民自身が考える必要があります。

失敗を隠したいと思うのが人の性

西出 順郎 2011年4月に、いわゆる「公文書管理法」が施行されています。これは、公文書の作成、管理、保存、廃棄、国立公文書館への移管、公表などを定めた法律です。

 そもそも、年金保険記録が失われた問題など、公文書のずさんな管理が相次いだことを受け、その反省から法制化されたものです。

 ところが、その後も、「森友問題」、「加計問題」、「南スーダン国連平和維持活動の日報問題」、「桜を見る会問題」などでは、相変わらず公文書がない、あるが争点になっています。

 その結果、私たち国民は、「政府と行政が互いをかばい合っているのでは?」という疑念を持ち、政治・行政に対する不信を募らせています。

 公共政策やその制度設計について関心のある研究者は、制度は、なぜ実際に上手く機能しないのか、改善されないのか、ということにも着目します。

 例えば、ビジネスにおいて「失敗から学ぶ組織」という概念はよく知られています。

 成功体験に縛られるより、一度犯した失敗を繰り返さないように工夫することが、組織を改善していくという考え方です。このような経験は、私たちの日常でも少なからずあるでしょう。

 ところが、政治や行政の場合は、一度の失敗が致命傷となる、すなわち改善というよりも政局に利用されることがあります。

 すなわち、改善ではなく責任者を辞めさせることが「学び」の目的のようになってしまうのです。彼らを辞任させることができれば一件落着のようになってしまうわけです。

 ここでは、失敗を検証し、そこから学ぶという意識が、失敗した側も、それを追求する側にも希薄なのです。

 そのため、失敗した側には自己防衛に走ろうとする欲求が過度に生じてきます。

 そもそも、悪いところを知られたくないのは人の常であり、性です。しかも、それが知れると、自分の進退に関わる、つまり、人生の浮沈に関わるとなれば、隠したいと思うのが、ある意味、自然な動きかもしれません。

 そのため、例えば、その証拠となる公文書を廃棄したり、隠蔽したりする行為は、行政側の理屈からみれば、納得できないこともありません。

 もちろん、それが人の本性なのだからやむを得ない、と言っているのではないですが、そうした人の本性を前提とした制度設計や、運用を考えることが重要だということはお分かりいただけるかと思います。

 その意味では、短絡的に責任者を叩いたり、辞めさせることだけが、より良い追求ではないということも、ご理解いただけるでしょう。

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