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2015.12.18

SIMロック解除を機に考えたいリスク管理

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インターネット社会に対応する制度作りは“協働”から

新美 育文 私の海外の知り合いの中には、インターネットは産業革命以上の大革命だという認識をもっている人がいます。人類が20世紀まで築いてきた制度やルールでは、対処しきれない変革が起きているというわけです。日本にとっては、海外への扉が一気に開いた幕末の開国期に当てはまるかもしれません。しかも、パソコンやスマートフォンを使うことによって、私たち一人ひとりがそれぞれ世界に直結しているのです。従来は、サービスを提供する事業者とユーザーが一種の上下関係にあり、事業者が想定する範囲でユーザーはサービスを享受していましたが、インターネットの環境は従来の構造とは異なる状況を招いています。例えば、ユーザー自身が想定外のリスクに自ら陥ることや、事業者以上に知識と技術をもったユーザーが、悪意のある仕組みを作り、一般ユーザーを陥れることもあります。通信事業者も端末を提供するメーカーも、個々のユーザーの行動を想定も把握もしきれないのです。そのため、安全、安心な新たなシステムの構築や法制度の整備を急がなければいけない状況ですが、そのためのリーダーシップを誰もとれない状況になっているのです。

 つまり、20世紀までの制度に代わるシステムを考えるには、20世紀型のやり方では駄目だということです。“上意下達”式ではなく、まずは、国、通信事業者、メーカー、ユーザーがともに、どうすれば安全で安心な環境を構築できるか、議論し、協働できる新たな環境を構築する仕組みをつくることが急務だといえます。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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