明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

音声合成技術によって「人間を超える声」が生まれる!?

森勢 将雅 森勢 将雅 明治大学 総合数理学部 准教授

>>英語版はこちら(English)

近年、音声合成技術がものすごい早さで進歩しています。それは、私たちの生活に貢献する一方、詐欺などの犯罪に利用されるケースもあると言います。その技術とはどういったもので、今後、どのように進化していくのでしょう。

人の自然な音声のレベルに達した合成音声

森勢 将雅 2010年代後半になり、計算機による音声読み上げ機能がスマートスピーカーやネット上のニュース番組で利用されるようになってきました。使ってみると、以前のような、いかにも機械で合成した音声ではないことに気がついた人も多いと思います。

 実は、合成音声が人の声と同じレベルに達する段階は、もう終わっていると言われているのです。

 まずは古い例からですが、例えば、バスの車内アナウンスで、「次は○○です」という合成音声が流れるとします。

 古いものはすぐに合成音声だとわかるレベルですが、それは、「つぎ」、「は」、「○○」、「です」がそれぞれ録音されてあり、「○○」停留所が近づくと、それらをただ繋げて再生しているからです。合成音声と言えば、以前はこのような仕組みでした。

 すると、例えば、助詞のイントネーションがちょっと変であったりします。本来「は」は、前後にくる単語とセットになり、イントネーションが微妙に変わるものです。繋げて再生するだけではイントネーションを考慮しておらず、元の「は」のままの発音のため違和感に繋がります。

 では、最近の技術ではどうするかと言うと、まず、日本語の音声を、音素という細かなパーツに分けて登録しておき、目的となる言葉を読むときに、音素単位で繋げられるようにします。例えば、「駅」であれば、「e」、「k」、「i」という音素を繋げる必要があります。できるだけ自然に繋げられるよう、できるだけ多くの事例を集めておくことが重要です。

 読み上げる文章が入力されると、音素の連なりのなかで、ここまでが名詞、ここが助詞、これが動詞、というように文章の構造を解析します。

 そして、単語の大まかなアクセントの情報を記録した辞書と照合します。その際、例えば、「橋」と「箸」を判別し、正しいアクセントを選択します。

 その上で、単語のアクセントが文章になったときに自然に繋がるようなイントネーションを生成し、音素を登録したデータベースから必要な音素を取り出して接続することになります。

 大まかに言うと、このような複雑な工程を一瞬で行っているのです。その結果、人が喋っているような自然な音声を合成することができるわけです。

IT・科学の関連記事

がんを分子レベルで早期診断するシステム開発が始まっている

2021.5.19

がんを分子レベルで早期診断するシステム開発が始まっている

  • 明治大学 理工学部 教授
  • 石原 康利
先端医療に貢献するものづくりは、汗の結晶!?

2021.3.31

先端医療に貢献するものづくりは、汗の結晶!?

  • 明治大学 理工学部 准教授
  • 工藤 寛之
デジタル機器に欠かせない透明導電膜の作製技術を自然界に学ぶ

2021.3.17

デジタル機器に欠かせない透明導電膜の作製技術を自然界に学ぶ

  • 明治大学 理工学部 専任講師
  • 我田 元
ストレスから救ってくれるのは、老化の主犯の活性酸素!?

2021.2.24

ストレスから救ってくれるのは、老化の主犯の活性酸素!?

  • 明治大学 農学部 准教授
  • 安保 充
イノベーションという「パン」は空から降ってくるもの?

2021.2.17

イノベーションという「パン」は空から降ってくるもの?

  • 明治大学 政治経済学部 教授
  • 末永 啓一郎

新着記事

2021.06.21

「権利」、「法」、「自由」について、私たちは誤解していないか

2021.06.17

受け取った“想い”を、次世代へつないでいこう

2021.06.16

違憲判決を社会に活かすために必要なのは

2021.06.10

今日の経験を、未来の自分に活かす生き方をしよう

2021.06.09

人と機械の関わり方から、人と人のコミュニケーションを考える

人気記事ランキング

1

2021.06.16

違憲判決を社会に活かすために必要なのは

2

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

3

2017.10.18

ゲーテッド・コミュニティの実態に迫り、その“可能性”を探る

4

2019.07.31

万葉集に由来する「令和」に込められた、時代にふさわしい願い

5

2017.10.04

精神鑑定は犯人救済のために行うのではない

リレーコラム