明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」から考える、いま私たちがすべきこと

明治大学 情報コミュニケーション学部 専任講師 髙橋 華生子

企業に求められる社会的責任のあり方

 よりマクロな視点からの問題解決には、政府だけでなく、グローバル化が進む先進国の企業の協力も必要です。従来の企業の関わり方といえば、寄付や慈善活動などが中心でした。しかし現在では、CSR(corporate social responsibility=企業の社会的責任)のいう考えが拡がりをみせるなか、いかに途上国や世界全体の問題と自分たちの事業を絡めていけるのかを、企業側も探るようになっています。例えば、先進国では洗剤や調味料がボトルサイズで販売されていますが、途上国では一回分ずつ小分けされたものが店先に並んでいます。すると、商品の単価が下がり、収入が少ない層の人たちも買えるようになります。その結果、洗剤を使うことによって衛生状況が改善されたり、調味料に必要な栄養素を入れることで、栄養失調の軽減にもつながっています。このように貧困層の問題の改善を促しながら、企業としても収益を上げる「BOPビジネス」という事業が注目を集めています。

 また、途上国からの搾取を是正するために、適正な価格で取引する「フェアトレード」も重要です。例えば、コーヒーの原産国の多くは途上国ですが、コーヒー農園の労働者が得る収入は、先進国の消費者がコーヒーを飲むときに払っている価格の内、わずか数%程度といわれています。これでは搾取といわれても仕方ありません。そこで、先進国の企業がより適正な価格で取引すれば、途上国の人びとの労働環境の改善や収入の向上につながり、そして先進国の消費者が世界の現状を理解するきっかけにもなります。BOPビジネスもフェアトレードも、やり方によっては批判されることもありますが、企業の関わりを考えていくうえでの大事な一歩であるでしょう。

国際の関連記事

移民を引き寄せるアメリカの魅力が、日本にはあるか

2020.6.3

移民を引き寄せるアメリカの魅力が、日本にはあるか

  • 明治大学 政治経済学部 専任講師
  • 下斗米 秀之
歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

2020.4.1

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

  • 明治大学 理工学部 教授
  • 林 ひふみ
日本企業のアジア進出は、日本人のあり方を見直すきっかけになる

2019.9.11

日本企業のアジア進出は、日本人のあり方を見直すきっかけになる

  • 明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 准教授
  • 藤岡 資正

Meiji.netとは

Meiji.net英語版

特別授業

新着記事

2020.08.05

人口変動と人びとの歴史を結わえること

2020.07.29

お金について学ばないことで失う機会は大きい

2020.07.22

人類の危機を救う植物の秘めた力を解き明かす

2020.07.15

人の生活を助けるロボットの普及を妨げているのは、「人」である

2020.07.08

ブランド価値の向上が日本企業の課題

人気記事ランキング

1

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

2

2017.10.18

ゲーテッド・コミュニティの実態に迫り、その“可能性”を探る

3

2020.08.05

人口変動と人びとの歴史を結わえること

4

2016.10.19

スポーツビジネスの功罪を考えると、社会の未来が見える

5

2017.10.04

精神鑑定は犯人救済のために行うのではない

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム