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米国中間選挙を検証する ―オバマ大統領リーダーシップの変遷と戸別訪問の重要性―

海野 素央 海野 素央 明治大学 政治経済学部 教授

残り2年の任期でオバマ大統領のリーダーシップスタイルはどのように変わっていくと思われますか。

 「現実型」ともいうべきリーダーシップのスタイルが求められると思います。議会は共和党が多数を占めていますから、妥協するべき分野と妥協できない分野を明確に分けて、政策運営していく必要があります。そして任期残り2年でオバマ大統領が考えることは、レガシー、つまり政治上の功績を残すことです。それが医療保険制度改革であり移民制度改革です。2008年の大統領選は、若者とヒスパニック系の人たちの票で勝ちました。その原点に戻れば、創設した医療保険制度(26歳以下で未就職の若者が親の保険に加入できる制度が導入されている)を守り、ヒスパニック系の人たちの永住権及び市民権を与えることがレガシーを創造していくことにつながっていくと思われます。

先生は、日本でも戸別訪問を解禁することを主張しています。その意図をお聞かせください。

 私はこれまで、オバマ陣営で4,440件以上の戸別訪問を行ってきました。その活動で実感するのは「戸別訪問」には教育的側面があるということです。米国では、学生が戸別訪問を行い、レポートを提出することで単位が取れる制度があります、戸別訪問は学術的に有権者をリサーチするフィールドワークなのです。それだけではありません。戸別訪問によって対人コミュニケーション能力の向上が期待できます。「戸別訪問」は最終的に支持する候補者への投票を促す説得行動ですが、まずは相手を承認し関係を築くことが必要です。そして大切なのが傾聴と敬意。さらに相手の価値観と共通するストーリーを語り、それを踏まえて候補者の実績を述べて、対立候補との政策を比較します。これはまさに対人コミュニケーションであり、今の日本の若者に欠如しているスキルだと思います。戸別訪問で磨かれた対人コミュニケーション能力は、社会人になったとき大きな力を発揮すると思います。

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