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2022.02.25

「タイ的自由主義」がわかると、日本人もタイ人が好きになる

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タイ人の一面を表す大学マーケットプレイス

 これも、自由でおおらかなタイの文化の象徴のひとつですが、タイの動詞には時制を表す語形変化がありません。

 日本語であれば、「昨日ごはんを食べた」、「今日ごはんを食べる」と、過去形や現在形があります。でも、タイ語では「ごはんを食べる」という言葉だけで、昨日とか明日、いま、という言葉をつけて時間を表すのです。

 また、挨拶の言葉も「サワッディ」だけで、「おはよう」、「こんにちは」、「こんばんは」、さらに「さようなら」の場合にも使うことができます。

 これでは、日本人からは、タイ人は時間感覚がアバウトに見えると思います。実際、タイ人は時間に囚われる生活が嫌だったのかもしれません。それより、シンプルで、やりやすい生活を求めたのでしょう。他人と時間がずれても、「マイペンライ」なのです。

 一方で、人づきあいが良く、協調性も大切にするタイ人の一面が現れたのが、このコロナ禍で誕生したオンライン大学マーケットプレイスです。

 これは、同じ大学の人(現役大学生、教職員、OBなど)であれば無料で投稿でき、食品から不動産や車などの売買をはじめ、無料セミナー開催のお知らせ、お悩み相談など、実に様々な情報を受発信できるものです。

 投稿の条件として、氏名や、学部、学年、卒業年度など、その大学の人であることを明記しなければなりません。つまり、匿名ではないのです。逆に、同じ大学の人であるからこそ繋がり、信頼し合えるのです。

 このネットワークは各大学に生まれ、最も大きいチュラロンコン大学マーケットプレイスの登録者は、おそらく35万人以上になっています。

 この投稿の中には、コロナによって困窮した人たちを支援するための募金の呼びかけもあり、多くの寄付が集まるようです。

 他人のことはどうでも良いではなく、困った仲間がいれば助け合うという精神も、タイを象徴するタイ人の考え方なのです。

英語版はこちら

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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