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アジアの脅威は中国や北朝鮮ではなく、日本!?

明治大学 商学部 教授 柿崎 繁

2017年11月の日米首脳会談後、日本はアメリカから様々な高額の軍事兵器を購入する約束をしました。北朝鮮の核開発などの脅威があることが大きな理由でしたが、そのアメリカは、2018年6月の米朝会談により、北朝鮮に核の廃棄を約束させました。日本はいったいなにをしようとしているのか、将来ビジョンの欠如が指摘されています。

北朝鮮の脅威を煽ったのはアメリカの戦略!?

柿崎 繁 グローバリゼーションといえば、一般には良いイメージとして捉えられていますが、その実は、アメリカ資本主義のビジネススタイルを世界に広めることで、「アメリカナイゼーション」と呼べるものだと考えています。その基本原理は競争にあるため、企業は技術開発やコストダウンに努め、結果、競争に勝った企業がどんどん世界の市場に進出していくことになります。皮肉なことに、その競争に負け始めたのがアメリカの古い体質の製造業です。そのため生じた社会的不満や失業者の期待に応える形で登場したのがトランプ政権とみることができるわけです。しかし、古い体質の製造業を救うことはトランプ政権でも容易ではなく、そこで、膨大な貿易赤字を削減する方策のひとつとして浮上したのが、高額な武器の売り込みです。もともとアメリカの軍事産業は強大で、政策に影響を与える力もありましたが、冷戦が終結し、1990年代半ば以降は軍事予算が大幅に削減され続けたことで縮小を余儀なくされてきました。冷戦時は20ほどもあった軍事産業グループはM&Aやリストラによって再編され、近年では5グループほどになっています。軍事産業の脆弱化に、おそらく国防総省も慌て、そこに貿易赤字削減のニーズが重なり、軍事兵器の売り込みに繋がっていったわけです。そのかっこうの売り込み先となったのが、日本や韓国といえます。

 中国のいわゆる海洋進出や、北朝鮮の核開発があり、近年、東アジアは緊張が高まっていました。彼らを脅威とみなし、緊張を煽り、一層高めれば、日本や韓国に対して軍事兵器の売り込みが容易になるわけです。しかも、それは、必要以上に安全保障協力を進めたい安倍政権の思惑と合致することになりました。その結果、安倍政権も北朝鮮の脅威を声高に訴え、高額で高性能なアメリカ製の軍事兵器の購入を正当化しました。しかし、アメリカが東アジアで本当に戦争が起こるような事態を想定していたかは疑問です。実は、戦争に膨大な予算をかけることや、アメリカ兵の死者を出すことには国民の反発が大きいことから、例えば、2003年のイラク戦争時でも、アメリカ駐留軍の半分以上が傭兵であったといわれています。つまり、アメリカは戦争を起こすより、特定の国の脅威を煽ることで、周辺国にアメリカ製の軍事兵器を買わせることの方がメリットが大きいのです。こうした点を考えると、安倍政権は自らの政策を推進するうえでアメリカと協力しているように見えますが、実は、アメリカに上手くコントロールされていると言えるのです。

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