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アジアの脅威は中国や北朝鮮ではなく、日本!?

柿崎 繁 柿崎 繁 明治大学 商学部 教授

アメリカの言いなりで兵器を購入する状態の日本

 実は、アメリカの軍事兵器の売り込みの手段は、周辺国の脅威を煽ることだけではありません。アメリカ軍との軍事共同訓練もそのひとつです。訓練では、指揮系統などで共通のシステムを用いなくてはならず、アメリカ製の兵器を購入せざるを得ません。しかし、日本側も自衛隊の幹部の人たちも、それを承知の上でアメリカとの共同安全保障体制を強化していきたいと考えていると思います。その点で、日本側、特に安倍政権にとっては、自らの政策とアメリカ側の要求がちょうどマッチングしていると思っていたのかもしれません。

 しかし、一方で、日本の経済界からは不満の声も出ています。従来は、アメリカ製の軍事兵器を購入するといっても、日本企業がライセンス料を払って生産する方式がとられていました。定評のある日本のIC技術を活用したり、逆にアメリカの技術を知ることもできたのです。ところが、昨年秋の日米首脳会談では、機密法により協定を結び、ライセンス方式を認めず、政府間同士で秘密裡に軍事兵器購入が進められることになるのです。つまり、日本政府がアメリカ政府の言いなりで購入するようなもので、民間企業は口も手も出せない状況です。実は、一般にはあまり知られていませんが、日本の重電や運輸通信に関わる大手企業も、軍事兵器や部品の開発や製造にあたっています。アメリカの経済界が製造業の衰えを軍事産業でカバーしようとしているように、日本の企業も民需の製造部門が国際競争力で落ち込み始めた部分を、軍需で補う構造ができつつあるのです。その意味で、日米の政府間の直接取引は、今後、大きな問題となっていくかもしれません。

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